6カ所の同時性小腸転移を認めた上行結腸癌の1例

症例は71歳の女性で,息切れとふらつきを主訴として血液生化学検査で貧血を認められたため当院を受診した.腹部CT検査では上行結腸に長径5cmほどの腫瘤と周囲のリンパ節腫大を認め,明らかな遠隔転移や腹膜播種を疑う所見は見られなかった.下部内視鏡検査で上行結腸に全周性の2型病変を認め,組織学的に中分化型腺癌と診断された.以上より,所属リンパ節転移を伴う上行結腸癌の診断で開腹回盲部切除術を計画した.術中に上行結腸の主腫瘍に加えて,回腸末端の口側20cmから120cmに6カ所の小腸腫瘍を認めたため,2カ所の小腸切除を追加した.切除した小腸腫瘍は筋層を主座として4個は2型,2個は粘膜下腫瘍の肉眼型を呈した...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 6; pp. 1197 - 1201
Main Authors 森山, 瑞紀, 林, 英司, 河原, 健夫, 塚原, 哲夫, 青山, 広希, 澤崎, 直規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:症例は71歳の女性で,息切れとふらつきを主訴として血液生化学検査で貧血を認められたため当院を受診した.腹部CT検査では上行結腸に長径5cmほどの腫瘤と周囲のリンパ節腫大を認め,明らかな遠隔転移や腹膜播種を疑う所見は見られなかった.下部内視鏡検査で上行結腸に全周性の2型病変を認め,組織学的に中分化型腺癌と診断された.以上より,所属リンパ節転移を伴う上行結腸癌の診断で開腹回盲部切除術を計画した.術中に上行結腸の主腫瘍に加えて,回腸末端の口側20cmから120cmに6カ所の小腸腫瘍を認めたため,2カ所の小腸切除を追加した.切除した小腸腫瘍は筋層を主座として4個は2型,2個は粘膜下腫瘍の肉眼型を呈した.病理組織学的に上行結腸癌は高分化腺癌,T3(A),N0,ly1,v2で,小腸腫瘍はいずれも同様の特徴を有する腺癌像であり,上行結腸癌と6カ所の多発性小腸転移と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1197