地下LNG貯蔵プラント周辺岩盤の低温環境下における状態変化の調査

硬岩中に掘削された空洞に液化天然ガス (LNG) を貯蔵するという新しい概念の実現可能性を調査し、かつ地下LNG貯蔵設備を構築するため必要な技術を開発するため、韓国地質資源研究院 (KIGAM) の敷地内に液体窒素 (LN2) を貯蔵する小規模パイロットプラントが作られた。空洞に貯蔵されたLN2は、周囲の岩石を極低温状態にし、そのため氷輪 (ice ring) の生成や、貯蔵空洞のまわりの岩盤性状の変化を引き起こすものと予想される。このパイロットプラントで岩盤性状の変化を調査しモニターするため、物理探査、水文地質学および岩石力学的調査が行なわれた。ボアホールレーダおよび三次元比抵抗調査等の物理...

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Published in物理探査 Vol. 58; no. 1; pp. 67 - 72
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 物理探査学会 2005
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Summary:硬岩中に掘削された空洞に液化天然ガス (LNG) を貯蔵するという新しい概念の実現可能性を調査し、かつ地下LNG貯蔵設備を構築するため必要な技術を開発するため、韓国地質資源研究院 (KIGAM) の敷地内に液体窒素 (LN2) を貯蔵する小規模パイロットプラントが作られた。空洞に貯蔵されたLN2は、周囲の岩石を極低温状態にし、そのため氷輪 (ice ring) の生成や、貯蔵空洞のまわりの岩盤性状の変化を引き起こすものと予想される。このパイロットプラントで岩盤性状の変化を調査しモニターするため、物理探査、水文地質学および岩石力学的調査が行なわれた。ボアホールレーダおよび三次元比抵抗調査等の物理探査は、特に氷輪の発達や、貯蔵されたLN2の極低温に起因するその他の状態変化を検出しモニターする目的で使用された。三次元比抵抗探査データはLN2貯蔵前後で取得され、それらの結果の比較が行われた。3回にわたって取得された比抵抗モニタリングデータにより得られた三次元モデルから、LN2の貯蔵と密接に関係のある明確な比抵抗変化領域が確認された。その結果、貯蔵空洞の東側で比抵抗の減少が観察された。空洞の周囲の水文地質学のデータおよび亀裂分布との比較により、この比抵抗変化は地下水の流動パターンの変化に起因すると解釈された。なぜなら、LN2の極低温に起因する貯蔵空洞周囲の結氷は、このパイロットプラント全体の水文地質学的状況および地下水流動パターンに大きな影響を与えると考えられるためである。
ISSN:0912-7984
1881-4824
DOI:10.3124/segj.58.67