縁辺地域における住民の買い物環境評価

本研究は,縁辺地域における住民の買い物環境の解明を目的とし,食料品アクセスと食料品充足率を用いた買い物環境の評価と,住民に対するアンケート・インタビュー調査を実施した.研究対象地域は,西日本某県の農山漁村X町である.同町は少子高齢化が進む地域であり,かつ食料品店が少ない.しかし調査の結果,高齢者の自家用車利用や食料品の一部自給自足,住民の相互扶助などにより,現在は一定の生活環境が保たれていることが分かった.ただし,住民の70%以上は,低栄養リスクの高い食生活を送っている.また,食料品店の多くは食料品充足率が低く,自家用車を持たない住民が健康的な食生活を送ることは困難な状況にある.移動販売車も経...

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Published inE-journal GEO Vol. 15; no. 2; pp. 200 - 220
Main Authors 岩間, 信之, 浅川, 達人, 田中, 耕市, 佐々木, 緑, 駒木, 伸比古, 池田, 真志, 今井, 具子, 瀬崎, 彩也子, 野坂, 咲耶, 藤村, 夏美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本地理学会 2020
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Summary:本研究は,縁辺地域における住民の買い物環境の解明を目的とし,食料品アクセスと食料品充足率を用いた買い物環境の評価と,住民に対するアンケート・インタビュー調査を実施した.研究対象地域は,西日本某県の農山漁村X町である.同町は少子高齢化が進む地域であり,かつ食料品店が少ない.しかし調査の結果,高齢者の自家用車利用や食料品の一部自給自足,住民の相互扶助などにより,現在は一定の生活環境が保たれていることが分かった.ただし,住民の70%以上は,低栄養リスクの高い食生活を送っている.また,食料品店の多くは食料品充足率が低く,自家用車を持たない住民が健康的な食生活を送ることは困難な状況にある.移動販売車も経営的に苦しい状況にある.今後,人口の高齢化がさらに進む中で,当該地域の買い物環境の維持が困難になることも危惧される.生活インフラを維持するために必要な施策の詳細や施策実現の可能性を,具体的に検討する必要がある.
ISSN:1880-8107
DOI:10.4157/ejgeo.15.200