術後8カ月目に大腸転移を認めた食道扁平上皮癌の1例

症例は80歳,男性.胸部中部食道癌に対し2領域郭清を伴う食道亜全摘術を施行し,病理結果は中分化型扁平上皮癌,pT3N2(1/39;No.110)M0,Stage IIIであった.高齢のため術後補助化学療法は施行しなかった.術後8カ月目に血便を認め入院.精査の結果,盲腸に易出血性の半周性2型腫瘍を認め,#201リンパ節腫大,多発肝転移を認めた.生検結果は既往の食道癌と類似する扁平上皮癌であり食道癌盲腸転移と診断した.回盲部切除術を施行し,術中所見では盲腸に漿膜浸潤を伴う5cm大の腫瘍を認めた.腹膜播種はなく腹水洗浄細胞診は陰性であった.病理組織学的検査において盲腸全層と上行結腸の筋層下に癌の増殖...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 9; pp. 1844 - 1850
Main Authors 滝口, 伸浩, 早田, 浩明, 鍋谷, 圭宏, 佐藤, 菜実, 外岡, 亨, 星野, 敢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1844

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Summary:症例は80歳,男性.胸部中部食道癌に対し2領域郭清を伴う食道亜全摘術を施行し,病理結果は中分化型扁平上皮癌,pT3N2(1/39;No.110)M0,Stage IIIであった.高齢のため術後補助化学療法は施行しなかった.術後8カ月目に血便を認め入院.精査の結果,盲腸に易出血性の半周性2型腫瘍を認め,#201リンパ節腫大,多発肝転移を認めた.生検結果は既往の食道癌と類似する扁平上皮癌であり食道癌盲腸転移と診断した.回盲部切除術を施行し,術中所見では盲腸に漿膜浸潤を伴う5cm大の腫瘍を認めた.腹膜播種はなく腹水洗浄細胞診は陰性であった.病理組織学的検査において盲腸全層と上行結腸の筋層下に癌の増殖を認め,高度の静脈侵襲と静脈腫瘍栓を伴っており血行性転移と考えられた.食道癌の大腸転移は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1844