複数の歩行状態に対応した加速度センサに基づく人物識別

加速度センサやジャイロセンサが搭載されたスマートフォンなどの携帯端末が広く普及したことを受け,そのようなセンサから得られる情報を元に,歩行者の状態や携帯端末の所持状態,あるいは人物識別を実現しようという取り組みが行われている.本研究では,人物識別を目指した既存研究の多くが,平地での歩行状態のみを対象としているものが多い点に着目し,複数の歩行状態で人物識別を実現する方法を提案する.具体的には,平地歩行・階段昇行・階段降行の3種類の歩行状態を識別し,歩行状態別に定義した識別器を用いて人物識別を実現する.10人の被験者を対象とした実験の結果,最も高い精度が得られた線形判別分析において,歩行状態識別率...

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Published in知能と情報 Vol. 27; no. 5; pp. 711 - 722
Main Authors 松嵜, 晃司, 真部, 雄介, 菅原, 研次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本知能情報ファジィ学会 2015
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ISSN1347-7986
1881-7203
DOI10.3156/jsoft.27.711

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Summary:加速度センサやジャイロセンサが搭載されたスマートフォンなどの携帯端末が広く普及したことを受け,そのようなセンサから得られる情報を元に,歩行者の状態や携帯端末の所持状態,あるいは人物識別を実現しようという取り組みが行われている.本研究では,人物識別を目指した既存研究の多くが,平地での歩行状態のみを対象としているものが多い点に着目し,複数の歩行状態で人物識別を実現する方法を提案する.具体的には,平地歩行・階段昇行・階段降行の3種類の歩行状態を識別し,歩行状態別に定義した識別器を用いて人物識別を実現する.10人の被験者を対象とした実験の結果,最も高い精度が得られた線形判別分析において,歩行状態識別率95.7%,人物識別率85.0%(平地歩行),90.0%(階段昇行),77.0%(階段降行)が得られた.また,歩行状態識別と人物識別を段階的に行った場合の人物識別率の推定値は80.4%となった.さらに,提案手法と歩行状態の区別をせずに人物識別を行った場合との比較を行った結果,使用した5種類の識別器(k近傍法,決定木,単純ベイズ分類器,線形判別分析,サポートベクターマシン)のうち,k近傍法を除く4つの識別器で提案手法による人物識別率が高くなり,歩行状態別に人物識別を行うことによる識別精度改善効果が確認された.
ISSN:1347-7986
1881-7203
DOI:10.3156/jsoft.27.711