図示化と化学的解釈に特化した新しいPLS手法 - セリンプロテアーゼ阻害剤のSOMPLS解析

定量的構造活性相関 (QSAR) では、partial least squares (PLS) が統計的手法として注目されてきた。QSARデータセットに対する応用例以来、PLSは、より複雑なデータ構造に対応できるように進化してきた。その中で、特に、図示化と化学的解釈に特化したPLS法が、分子設計ではより求められるようになってきた。本研究でわれわれは、自己組織化マップPLS (SOMPLS)を3つのセリンプロテアーゼ阻害剤 (Factor Xa, Tryptase, urokinase-type Plasminogen Activator (uPA)) に応用し、複数の阻害活性を予測した。分子中...

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Published inJournal of Computer Aided Chemistry Vol. 11; pp. 56 - 61
Main Authors 長谷川, 清, 船津, 公人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学会・情報化学部会 2010
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Summary:定量的構造活性相関 (QSAR) では、partial least squares (PLS) が統計的手法として注目されてきた。QSARデータセットに対する応用例以来、PLSは、より複雑なデータ構造に対応できるように進化してきた。その中で、特に、図示化と化学的解釈に特化したPLS法が、分子設計ではより求められるようになってきた。本研究でわれわれは、自己組織化マップPLS (SOMPLS)を3つのセリンプロテアーゼ阻害剤 (Factor Xa, Tryptase, urokinase-type Plasminogen Activator (uPA)) に応用し、複数の阻害活性を予測した。分子中の特定の部分構造の存在を表すRetrosynthetic Combinatorial Analysis Procedure (RECAP) フラグメントをchemical descriptorとして利用した。SOMPLS解析とその後のcorrelation mapから、それぞれのセリンプロテアーゼに必要な必須フラグメントを容易に見つけることができた。Correlation mapから、われわれはそれぞれのセリンプロテアーゼタンパクに対してそれぞれの置換基の最適フラグメントの組み合わせを設計することができた。必須フラグメントについては、コンピュータグラフィックス上セリンプロテアーゼタンパクのX線結晶構造から合理的に説明できた。SOMPLSは、構造活性データの図示化というリガンドの観点に特化したユニークなデータマイニング手法であると言える。
ISSN:1345-8647
DOI:10.2751/jcac.11.56