培養マウス歯胚の微細構造: 基底膜ならびにそれに付随する微細線維と細胞分化の関係について
胎生18日マウスの下顎臼歯歯胚を摘出しミリポアフィルター上に貼布して培養を行った 。培養初期のものでは内エナメル上皮は立方形, 歯乳頭の間葉細胞は紡錘形といずれも未分化な形態を呈し, 両者の間には直線的な基底膜がみられるが基底膜より放散する細線維の少ないのがこの時期の特徴である。培養日数の増加とともに内エナメル上皮は急速に丈を増して高円柱状へと移行していくがこの時期に一致して基底膜より放散する細線維が増加し, 同時に紡錘形の間葉細胞も立方形へと分化の進展がみられてくる。このような細線維は基底膜の消失とともに不明瞭になってくるが最終的には基質形成への置換の可能性が推測される。 基底膜と細線維は細...
Saved in:
Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 357 - 365 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
1980
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0137 |
DOI | 10.2330/joralbiosci1965.22.357 |
Cover
Summary: | 胎生18日マウスの下顎臼歯歯胚を摘出しミリポアフィルター上に貼布して培養を行った 。培養初期のものでは内エナメル上皮は立方形, 歯乳頭の間葉細胞は紡錘形といずれも未分化な形態を呈し, 両者の間には直線的な基底膜がみられるが基底膜より放散する細線維の少ないのがこの時期の特徴である。培養日数の増加とともに内エナメル上皮は急速に丈を増して高円柱状へと移行していくがこの時期に一致して基底膜より放散する細線維が増加し, 同時に紡錘形の間葉細胞も立方形へと分化の進展がみられてくる。このような細線維は基底膜の消失とともに不明瞭になってくるが最終的には基質形成への置換の可能性が推測される。 基底膜と細線維は細胞の分化誘導に十分関与している可能性が考えられるが, 両細胞間を隔てる距離も分化誘導の重要な要素とみることができる。 |
---|---|
ISSN: | 0385-0137 |
DOI: | 10.2330/joralbiosci1965.22.357 |