成熟マウスの消化管におよぼす顎下腺摘除およびepidermal growth factor投与の影響

最近の研究から, epidermal growth factor (EGF) は新生仔動物の消化管に対して増殖的に作用することが知られているが, 成熟動物に対しても同様な作用を示すか否かについては明らかではない。本研究で, われわれは成熟マウスの顎下腺摘除およびEGFの投与が消化管におよぼす影響について検討した。顎下腺の摘除により, 雌雄マウスともに十二指腸と空腸の組織重量, タンパク質量, DNAおよびRNA量が有意に減少, あるいは減少する傾向がみられた。これらの減少は, 顎下腺摘除マウスにEGFを投与することにより有意に回復した。胃に対しては, 顎下腺の摘除による影響はみられなかった。し...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 215 - 220
Main Authors 平松, 正彦, 佐藤, 顕正, 柏俣, 正典, 南, 直幸, 南, 直臣
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 1987
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Summary:最近の研究から, epidermal growth factor (EGF) は新生仔動物の消化管に対して増殖的に作用することが知られているが, 成熟動物に対しても同様な作用を示すか否かについては明らかではない。本研究で, われわれは成熟マウスの顎下腺摘除およびEGFの投与が消化管におよぼす影響について検討した。顎下腺の摘除により, 雌雄マウスともに十二指腸と空腸の組織重量, タンパク質量, DNAおよびRNA量が有意に減少, あるいは減少する傾向がみられた。これらの減少は, 顎下腺摘除マウスにEGFを投与することにより有意に回復した。胃に対しては, 顎下腺の摘除による影響はみられなかった。しかし, 雄マウスにおいて, EGFの投与により, タンパク質量, DNAおよびRNA量の有意な増加がみられた。回腸に対しては, 顎下腺の摘除およびEGFの投与による影響はみられなかった。これらの結果から, 成熟マウスの顎下腺のEGFは, 消化管 (十二指腸と空腸) に対して増殖的に作用することが強く示唆された。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.29.215