歯周疾患における化学的仲介物質の役割

ラットの臼歯部に咬合性外傷および辺縁性歯周炎を起こさせ, PGの生合成抑制剤のひとつであるインドメサシンの投与によって起こる変化について病理組織学的および酵素組織化学的に検索した。 1) 咬合性外傷では破骨細胞による歯槽骨の下掘れ吸収がみられた。辺縁性歯周炎では咬合性外傷よりも多数の破骨細胞と, 好中球やリンパ球の浸潤および歯間乳頭部では細菌の介在も認められた。このことから骨吸収には炎症性細胞浸潤や細菌性毒素が関係しているものと考えられた。2) インドメサシン投与によって両疾患の破骨細胞は減少し, 形態学的には細胞の小型化, 核の濃縮による過染性, 空胞やruffled border様構造の消...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 164 - 179
Main Authors 今村, 實, 北村, 勝也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 1988
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ISSN0385-0137
DOI10.2330/joralbiosci1965.30.164

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Summary:ラットの臼歯部に咬合性外傷および辺縁性歯周炎を起こさせ, PGの生合成抑制剤のひとつであるインドメサシンの投与によって起こる変化について病理組織学的および酵素組織化学的に検索した。 1) 咬合性外傷では破骨細胞による歯槽骨の下掘れ吸収がみられた。辺縁性歯周炎では咬合性外傷よりも多数の破骨細胞と, 好中球やリンパ球の浸潤および歯間乳頭部では細菌の介在も認められた。このことから骨吸収には炎症性細胞浸潤や細菌性毒素が関係しているものと考えられた。2) インドメサシン投与によって両疾患の破骨細胞は減少し, 形態学的には細胞の小型化, 核の濃縮による過染性, 空胞やruffled border様構造の消失などの変化がみられた。3) ACPおよびLDH活性がインドメサシン投与によって減少したことは, 破骨細胞の形態的変化によって生じたものと考えられ, この事実が骨吸収を減少させるものと思われる。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.30.164