多臓器不全を合併した亜急性重症僧帽弁閉鎖不全症に対し IMPELLA 5.0を用いて手術待機した1症例

症例は49歳の男性で,重度僧帽弁閉鎖不全症による心不全から亜急性の経過で重症うっ血肝,急性腎不全を合併した.薬物療法やIABPを使用しても血行動態が改善しないため手術適応として心臓外科に紹介となった.肝機能障害に伴う凝固能障害が著明であり,心機能の低下も著しいことから緊急手術は危険と判断し,IMPELLA 5.0を用いて手術待機を行うこととした.待機中のリハビリテーションも考慮して右腋窩動脈からIMPELLA 5.0を挿入した.補助開始後はIMPELLA 5.0挿入に用いた人工血管縫合部からの再出血を生じ止血術を要したが,多臓器不全は徐々に改善し,補助開始から14日目に僧帽弁形成術を施行した....

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 86 - 90
Main Authors 加藤, 亙, 秋田, 翔, 矢澤, 翼, 大河, 秀行, 田中, 啓介, 後藤, 祐樹, 田嶋, 一喜, 山本, 良太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.2021
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.50.86

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Summary:症例は49歳の男性で,重度僧帽弁閉鎖不全症による心不全から亜急性の経過で重症うっ血肝,急性腎不全を合併した.薬物療法やIABPを使用しても血行動態が改善しないため手術適応として心臓外科に紹介となった.肝機能障害に伴う凝固能障害が著明であり,心機能の低下も著しいことから緊急手術は危険と判断し,IMPELLA 5.0を用いて手術待機を行うこととした.待機中のリハビリテーションも考慮して右腋窩動脈からIMPELLA 5.0を挿入した.補助開始後はIMPELLA 5.0挿入に用いた人工血管縫合部からの再出血を生じ止血術を要したが,多臓器不全は徐々に改善し,補助開始から14日目に僧帽弁形成術を施行した.リハビリテーションに時間を要したため入院期間が長くなったが僧帽弁形成術後30日で独歩退院した.IMPELLA 5.0は補助流量が多く心負荷を軽減すると同時に多臓器不全を効果的に改善し,また腋窩動脈から挿入することで補助期間中もリハビリテーションを可能にする有用な機器であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.50.86