治療中に空腸動脈出血をきたしたHenoch-Schönlein紫斑病の1例

Henoch-Schönlein紫斑病(HSP)の治療中に空腸動脈出血をきたした1例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,胃全摘術後であり,癒着性イレウスによる入退院を繰り返している.2013年11月にHSPを発症し,ステロイド投与を開始された.12月下旬に腹痛が出現,ショック状態となり,Hb:5.3g/dlと貧血の進行と造影CTで空腸動脈から活動性の出血を認めた.血管造影による止血を試みたが困難であり,緊急手術となった.腹腔内には左上腹部を中心に約500gの血腫を認めたが,癒着のために限局していた.空腸腸間膜内に動脈が破綻しており,活動性の出血を認め,同部を結紮切離した.術後経過は良...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 785 - 788
Main Authors 藤井, 昌志, 山中, 直樹, 萱島, 理, 亀岡, 宣久, 横畑, 和紀, 的場, 直行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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Summary:Henoch-Schönlein紫斑病(HSP)の治療中に空腸動脈出血をきたした1例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,胃全摘術後であり,癒着性イレウスによる入退院を繰り返している.2013年11月にHSPを発症し,ステロイド投与を開始された.12月下旬に腹痛が出現,ショック状態となり,Hb:5.3g/dlと貧血の進行と造影CTで空腸動脈から活動性の出血を認めた.血管造影による止血を試みたが困難であり,緊急手術となった.腹腔内には左上腹部を中心に約500gの血腫を認めたが,癒着のために限局していた.空腸腸間膜内に動脈が破綻しており,活動性の出血を認め,同部を結紮切離した.術後経過は良好でHSPの治療のため,再度内科に転科となった.HSPの治療中に腹腔内出血をきたした例は極めてまれで,致命的になりうるが,腹腔内の癒着により救命しえた1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.785