有明海奥部における酸素消費に対する水柱中の有機炭素分解の寄与

本研究では, 有明海奥部の酸素消費への溶存態有機炭素 (DOC) 分解の寄与を明らかにすることを目的とした。2018年5月から8月にかけて, 有明海奥部の2地点において底層水を採取し, 培養実験により酸素消費速度および粒子態有機炭素 (POC) , DOC分解速度を求めた。その結果, 培養期間におけるPOCとDOCの分解量比はおよそ4:1であった。全酸素消費に対する有機物分解の寄与は, 貧酸素水塊形成前の5月は47.0-54.2%であったのに対し, その後は7.4-18.4%程度まで減少した。これらのことから, 特に貧酸素水塊形成段階において有機物分解による酸素消費が極めて重要な役割を果たして...

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Published in水環境学会誌 Vol. 42; no. 5; pp. 195 - 200
Main Authors 田原, 沙紀, 内野, 宏治, 高巣, 裕之, 猪股, はるか
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本水環境学会 2019
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ISSN0916-8958
1881-3690
DOI10.2965/jswe.42.195

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Summary:本研究では, 有明海奥部の酸素消費への溶存態有機炭素 (DOC) 分解の寄与を明らかにすることを目的とした。2018年5月から8月にかけて, 有明海奥部の2地点において底層水を採取し, 培養実験により酸素消費速度および粒子態有機炭素 (POC) , DOC分解速度を求めた。その結果, 培養期間におけるPOCとDOCの分解量比はおよそ4:1であった。全酸素消費に対する有機物分解の寄与は, 貧酸素水塊形成前の5月は47.0-54.2%であったのに対し, その後は7.4-18.4%程度まで減少した。これらのことから, 特に貧酸素水塊形成段階において有機物分解による酸素消費が極めて重要な役割を果たしており, DOCの分解による酸素消費も貧酸素水塊形成の駆動因として無視できないことが示唆された。
ISSN:0916-8958
1881-3690
DOI:10.2965/jswe.42.195