スイーツセミナー4-1 ベーチェット病における神経病変と血管病変の診断と最新治療
ベーチェット病(BD)は,再発性口腔内アフタ,皮膚病変,外陰部潰瘍,眼病変を主症状とし,急性の炎症を繰り返しつつ遷延した経過をとる疾患である.主症状以外には関節炎や副睾丸炎,特殊病型とされる消化器病変,血管病変,中枢神経病変といった副症状が存在する. 中枢神経病変は神経BDと呼ばれ,最も重篤な合併症の一つであり,BDの10~20%に合併する.その臨床的特徴から急性型と慢性進行型の2型に分けられる.前者は頭痛,発熱,局所神経症状を示し,中枢神経系の感染症を除外すれば髄液細胞数の増加が鑑別に有用である.一方,後者は認知機能障害や性格変化,体幹失調,構語障害が進行し,髄液IL-6の持続高値や脳...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 39; no. 4; p. 371 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2016
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.39.371 |
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Summary: | ベーチェット病(BD)は,再発性口腔内アフタ,皮膚病変,外陰部潰瘍,眼病変を主症状とし,急性の炎症を繰り返しつつ遷延した経過をとる疾患である.主症状以外には関節炎や副睾丸炎,特殊病型とされる消化器病変,血管病変,中枢神経病変といった副症状が存在する. 中枢神経病変は神経BDと呼ばれ,最も重篤な合併症の一つであり,BDの10~20%に合併する.その臨床的特徴から急性型と慢性進行型の2型に分けられる.前者は頭痛,発熱,局所神経症状を示し,中枢神経系の感染症を除外すれば髄液細胞数の増加が鑑別に有用である.一方,後者は認知機能障害や性格変化,体幹失調,構語障害が進行し,髄液IL-6の持続高値や脳幹部の萎縮所見が特徴的である.この2つの病型は予後も治療も異なることから,両者を鑑別し病型に応じた対応をとることが重要である. 血管病変は血管BDと呼ばれ,その頻度はBDの約5~10%程度であり,中近東や欧米諸国よりも低い.しかし,本邦では深部静脈血栓症から肺血栓塞栓症の合併をしばしば経験するため,免疫抑制薬に加え抗血栓薬が頻用されている.BDの難治性眼病変や腸管病変,神経病変に対しては,インフリキシマブの有効性が明らかとなっており,血管BDでもケースレポートレベルではあるが有用性が報告されている. 本公演ではBDについて概説し,さらに神経BDと血管BDの診断と治療について最近の情報を紹介したい. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.39.371 |