シリコーンソケットを用いた術直後義肢装着法 (IPOPSS) の経験

はじめに: 下肢切断術後に弾性包帯によるSoft dressingでの断端管理を行うと断端浮腫により義足採型までに期間を要する欠点がある. そこでわれわれはシリコーンソケットを下肢切断術直後に使用し同時に義肢装着もできるシリコーンソットを用いた術直後義肢装着法 (IPOPSS) を行ったので報告し, また過去のSoft dressingとの入院期間に関し比較した.対象と方法: 対象は2003年1月以降当院ならびに関連病院にて下肢切断術時にIPOPSSを行った21例22肢. 疾患は虚血性疾患7肢, 糖尿病性潰瘍6肢, 悪性腫瘍5肢, 感染4例. 切断部位は下腿切断14肢, 大腿切断8肢であった....

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Published in順天堂医学 Vol. 57; no. 2; pp. 151 - 157
Main Authors 黒澤, 尚, 寺門, 厚彦, 臼井, 二美男, 鳥越, 知明, 長岡, 正範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2011
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.57.151

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Summary:はじめに: 下肢切断術後に弾性包帯によるSoft dressingでの断端管理を行うと断端浮腫により義足採型までに期間を要する欠点がある. そこでわれわれはシリコーンソケットを下肢切断術直後に使用し同時に義肢装着もできるシリコーンソットを用いた術直後義肢装着法 (IPOPSS) を行ったので報告し, また過去のSoft dressingとの入院期間に関し比較した.対象と方法: 対象は2003年1月以降当院ならびに関連病院にて下肢切断術時にIPOPSSを行った21例22肢. 疾患は虚血性疾患7肢, 糖尿病性潰瘍6肢, 悪性腫瘍5肢, 感染4例. 切断部位は下腿切断14肢, 大腿切断8肢であった. 術直後にシリコーンソケットを装着し一定の圧力で断端を圧迫し, ギプスで作成した外ソケット義足パーツを装着した. 術翌日よりシリコーンソケットを外し創部の観察や消毒を行い, さらに外ソケット義足パーツを装着しベッドサイドでの立位訓練を開始した.結果: 全例, 切断端に発汗を認めたが, シリコーンソケットを外すことで創部の乾燥, 消毒を行えた. 下腿切断を行った虚血性疾患2肢では術後創部壊死が生じ再切断を要した. 糖尿病性潰瘍, 悪性腫瘍, 感染による切断では創部感染を認めず, 断端浮腫も予防でき, すみやかに義足採型を行えた.考察・結論: 過去当院で下肢切断術後にSoft dressingを行い義足採型まで行った患肢は45肢で, 手術から採型まで要した期間は平均53日, 退院までは平均116日であった. 一方IPOPSSで義足採型まで行えた17肢では手術から採型まで平均35日, 退院までは平均49日であった. シリコーンソケットにより断端浮腫予防ですみやかに義足採型が行えたこと, 立位訓練にて筋力低下を予防し, 義足歩行までスムーズに移行できたことが入院期間の短縮をもたらしたと推測した. 下腿切断を行った虚血性疾患で成績が悪かったが, 原因として切断レベルが不適切であったことが考えられた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.57.151