化学療法が奏効し1年8カ月生存した直腸癌播種性骨髄癌症の1例

症例は66歳,男性.軟便を主訴に受診.大腸内視鏡検査で上部直腸から下部直腸にかけて直腸癌を認め,生検で低分化型腺癌と診断された.CTでは主腫瘍の他に大動脈周囲リンパ節の腫大を認めたため,PET-CTを施行したところ,多発骨転移を指摘された.Stage IVのため,まず化学療法を予定したところ,初診から3週間で血小板の急減な低下,PT-INRおよびD-dimerの急激な上昇を認め,播種性血管内凝固(DIC)となった.直腸癌による播種性骨髄癌症と判断し,すぐにDICの治療とともにmFOLFOX6による化学療法を開始した.化学療法の導入により速やかにDICから離脱することができた.化学療法はその後4...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 1; pp. 118 - 123
Main Authors 柴田, 邦隆, 酒田, 和也, 森本, 修邦, 森, 総一郎, 瀧内, 大輔, 太田, 博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.118

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Summary:症例は66歳,男性.軟便を主訴に受診.大腸内視鏡検査で上部直腸から下部直腸にかけて直腸癌を認め,生検で低分化型腺癌と診断された.CTでは主腫瘍の他に大動脈周囲リンパ節の腫大を認めたため,PET-CTを施行したところ,多発骨転移を指摘された.Stage IVのため,まず化学療法を予定したところ,初診から3週間で血小板の急減な低下,PT-INRおよびD-dimerの急激な上昇を認め,播種性血管内凝固(DIC)となった.直腸癌による播種性骨髄癌症と判断し,すぐにDICの治療とともにmFOLFOX6による化学療法を開始した.化学療法の導入により速やかにDICから離脱することができた.化学療法はその後4th lineまで施行し,化学療法開始後約1年8カ月で原病死した. 本疾患は発症後早期での死亡の報告が多いが,本症例では速やかな治療により長期生存が得られたと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.118