統語の神経機構

文の産生と理解に必要な機能と神経基盤について検討した。23 名の限局する脳損傷患者を対象として, 種々の文産生課題および文理解課題を施行し, その誤り内容を分析した。その結果, 文の産生には, 文をどう構成するかの‘視点’を選択・決定する能力と, 最初に計画した文構成を維持する‘一貫性’が必要であることが推測され, ‘視点’の決定には前頭葉が, ‘一貫性’の維持には頭頂葉が関与していることが示唆された。文の理解には, 予想される一般的な語順等と異なった文に対応する‘視点’を柔軟に変更する能力と, 提示される文を最後まで聴いた上で処理するという‘一貫性’が必要であることが示唆され, ‘視点’変更...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 33; no. 2; pp. 195 - 204
Main Author 大槻, 美佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 30.06.2013
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Summary:文の産生と理解に必要な機能と神経基盤について検討した。23 名の限局する脳損傷患者を対象として, 種々の文産生課題および文理解課題を施行し, その誤り内容を分析した。その結果, 文の産生には, 文をどう構成するかの‘視点’を選択・決定する能力と, 最初に計画した文構成を維持する‘一貫性’が必要であることが推測され, ‘視点’の決定には前頭葉が, ‘一貫性’の維持には頭頂葉が関与していることが示唆された。文の理解には, 予想される一般的な語順等と異なった文に対応する‘視点’を柔軟に変更する能力と, 提示される文を最後まで聴いた上で処理するという‘一貫性’が必要であることが示唆され, ‘視点’変更には前頭葉が, ‘一貫性’維持には頭頂葉が関与していることが示唆された。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.33.195