東洋医学24脈状診と心機図計との関係考察

鍼灸の古典診断法の中で, 古典が最下級とみた切診 (触診) がある。このように規定したことは, 現代においては逆ではないかと考える。その切診を大きく分類すると, (1) 橈骨動脈, あるいは総頸動脈, あるいは後脛骨動脈の, 搏動部の圧脈状を, 根拠とした24脈状診と, (2) 手足部, あるいは腹部の, 経絡・経穴の皮下硬結点あるいは圧痛点を, 根拠とした24点診断法と, (3) 腹診と, (4) 舌診等がある。 現在心機図計があり, 簡易心電図と, 橈骨動脈圧脈波図と, 総頸動脈圧脈波図と, 後脛骨動脈圧脈波図から, 成人病に関係ある動脈硬化症等を, 自動診断できるようになっている。一方,...

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Published in全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 135 - 144
Main Author 篠原, 鼎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 全日本鍼灸学会 01.06.1987
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ISSN0285-9955
1882-661X
DOI10.3777/jjsam.37.135

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Summary:鍼灸の古典診断法の中で, 古典が最下級とみた切診 (触診) がある。このように規定したことは, 現代においては逆ではないかと考える。その切診を大きく分類すると, (1) 橈骨動脈, あるいは総頸動脈, あるいは後脛骨動脈の, 搏動部の圧脈状を, 根拠とした24脈状診と, (2) 手足部, あるいは腹部の, 経絡・経穴の皮下硬結点あるいは圧痛点を, 根拠とした24点診断法と, (3) 腹診と, (4) 舌診等がある。 現在心機図計があり, 簡易心電図と, 橈骨動脈圧脈波図と, 総頸動脈圧脈波図と, 後脛骨動脈圧脈波図から, 成人病に関係ある動脈硬化症等を, 自動診断できるようになっている。一方, 日本の鍼灸臨床の場では, 現代医学の脳波計等の高級診断器が使えないのと, 鍼灸治効にとって科学的な指標になる診断器がないので, 混乱を増幅しているのではないかと考える。それゆえ, この心機図計を鍼灸臨床の場で使えば, なにも指頭感覚による24脈状診は, いらないのではないかと考える。そこで, 心機図と, 東洋医学八要脈の当はめをおこなった結果, 1) S-S間隔 (脈間隔) で, 遅脈・数脈が判る。 2) S-P時間 (動脈頂点時間) とDh/Ch% (切痕有無) で, 滑脈・〓脈が判る。 3) Ph/Ch% (圧脈波高比) で, 浮脈・沈脈が判る。 4) S-C 時間 (駆出時間) で, 大脈・緩脈が判る。 ことが, 判明した。このことにより, 約1500年間伝承仮説であった, 東洋医学の脈診の根本問題が解決されたと思われる。
ISSN:0285-9955
1882-661X
DOI:10.3777/jjsam.37.135