大学体育授業における場所選択行動から見える学習者の適応感:異なる履修形態のクラスを対象としたソフトボール授業での調査

本研究の目的は,大学体育授業において,学習者の場所選択行動と適応感を履修形態別に検討することであった. 4年制大学で体育授業を受講する学生139名を対象に,質問紙調査を実施した.調査内容は体育授業における場所選択行動と適応感(学校適応感尺度,体育適応感尺度)であった.場所選択行動を利用頻度が多かった3区域(手前・真ん中・奥)に分割し,尺度得点ごとに二元配置分散分析と単純主効果の検定及び多重比較を行った.本研究で得られた結果は以下の通りである.(1)奥区域を選択する必修群は「居心地の良さの感覚」「課題・目的の存在」「被信頼・受容感」が選択群より低値を示した.(2)手前区域を選択する必修群は「被信...

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Published in大学体育スポーツ学研究 Vol. 18; pp. 65 - 74
Main Authors 鳥井, 淳貴, 中須賀, 巧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 全国大学体育連合 2021
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ISSN2434-7957
DOI10.20723/jpeshe.18.0_65

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Summary:本研究の目的は,大学体育授業において,学習者の場所選択行動と適応感を履修形態別に検討することであった. 4年制大学で体育授業を受講する学生139名を対象に,質問紙調査を実施した.調査内容は体育授業における場所選択行動と適応感(学校適応感尺度,体育適応感尺度)であった.場所選択行動を利用頻度が多かった3区域(手前・真ん中・奥)に分割し,尺度得点ごとに二元配置分散分析と単純主効果の検定及び多重比較を行った.本研究で得られた結果は以下の通りである.(1)奥区域を選択する必修群は「居心地の良さの感覚」「課題・目的の存在」「被信頼・受容感」が選択群より低値を示した.(2)手前区域を選択する必修群は「被信頼・受容感」が選択群より低値を示した.(3)必修群の手前区域を選択する者は「居心地の良さの感覚」「被信頼・受容感」が奥区域を選択する者より高値を示した.(4)選択群の真ん中区域を選択する者は「被信頼・受容感」が,手前区域・奥区域を選択する者よりも低値を示した.以上のことから,屋外体育授業における場所選択行動から推測される学習者の適応感は,履修形態によって異なることが示唆された.
ISSN:2434-7957
DOI:10.20723/jpeshe.18.0_65