IODP Expedition 323ベーリング海掘削航海の成果と今後の展望 全球水循環・気候変動に関わる顕著な役割
IODP Exp 323ベーリング海航海は,過去500万年間の速い堆積速度の堆積物を精査することで,北半球氷床,中期更新世変遷期(MPT),海氷,中深層水とラミナ堆積物,ベーリング海峡ゲートウェイの発達史等を解明することを目的とした.掘削コアリングは,アリューシャン海盆周辺の深度分布を含む計7サイトで成功裏に実施され,高品質のAPCを主体とする総計660本,5,741m長のコアを取得した.最大到達年代は,バウワーズ海嶺で500万年前,ベーリング斜面域で250万年前で連続的な堆積物を得た.アラスカ氷床融解の当海域への影響は,430万年前に始まり,330から280-250万年前までに強化された.バ...
Saved in:
Published in | Chishitsugaku zasshi Vol. 124; no. 1; pp. 17 - 34 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Tokyo
一般社団法人 日本地質学会
01.01.2018
Japan Science and Technology Agency |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | IODP Exp 323ベーリング海航海は,過去500万年間の速い堆積速度の堆積物を精査することで,北半球氷床,中期更新世変遷期(MPT),海氷,中深層水とラミナ堆積物,ベーリング海峡ゲートウェイの発達史等を解明することを目的とした.掘削コアリングは,アリューシャン海盆周辺の深度分布を含む計7サイトで成功裏に実施され,高品質のAPCを主体とする総計660本,5,741m長のコアを取得した.最大到達年代は,バウワーズ海嶺で500万年前,ベーリング斜面域で250万年前で連続的な堆積物を得た.アラスカ氷床融解の当海域への影響は,430万年前に始まり,330から280-250万年前までに強化された.バウワーズ海嶺付近での本格的な海氷発達は,海氷由来化石種の多産イベントにより270万年前と220-200万年前に見られ,MPT以降では北太平洋中層水形成に影響を与えた.強い氷期におけるベーリング海峡閉鎖時には,ベーリング海で北太平洋中層水形成が強まった. |
---|---|
Bibliography: | ObjectType-Article-1 SourceType-Scholarly Journals-1 ObjectType-Feature-2 content type line 14 |
ISSN: | 0016-7630 1349-9963 |
DOI: | 10.5575/geosoc.2017.0066 |