散種洗落時期と胚子發育
1) 春蠶期に採種して自然温度に保護した越年卵を産卵當日より産卵90日目後に至る種々なる時期に散種に洗落し, 洗落による再出卵及胚子發育階梯を調査した。 2) 晩秋蠶期に採種して25℃ に保護した硬性卵及自然温度に保護した軟性卵を産卵後1-50日目の種々なる時期に散種に洗落し, 洗落後は硬性卵は25℃ に置き, 軟性卵は産卵時より數えて50日目まで自然温度におき其後25℃ にて催青し發蟻及胚子發育階梯を調査した。 3) 以上の實驗より如何なる材料, 洗落時期の如何に拘らず, 洗落による物理的刺戟によつて卵の内容は活性化し胚子は發育を始め, 殆ど凡ゆる發育階梯のものを認めたが, 特に細長期前後に...
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Published in | 日本蚕糸学雑誌 Vol. 19; no. 2; pp. 136 - 146 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本蚕糸学会
1950
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Summary: | 1) 春蠶期に採種して自然温度に保護した越年卵を産卵當日より産卵90日目後に至る種々なる時期に散種に洗落し, 洗落による再出卵及胚子發育階梯を調査した。 2) 晩秋蠶期に採種して25℃ に保護した硬性卵及自然温度に保護した軟性卵を産卵後1-50日目の種々なる時期に散種に洗落し, 洗落後は硬性卵は25℃ に置き, 軟性卵は産卵時より數えて50日目まで自然温度におき其後25℃ にて催青し發蟻及胚子發育階梯を調査した。 3) 以上の實驗より如何なる材料, 洗落時期の如何に拘らず, 洗落による物理的刺戟によつて卵の内容は活性化し胚子は發育を始め, 殆ど凡ゆる發育階梯のものを認めたが, 特に細長期前後にまで發育するものが非常に多く, 或るものは再串卵となつて發蟻するに至る。 4) 洗落時期による再出卵の多少は, 産卵後1-2日目に洗落のものに多く5日前後は最も少く, 其後再び多くなり60日目以後に至り又減少する。この傾向は胚子の發育の進み方についても同樣である。併し産卵後25℃に繼續保護したものは, この傾向が顯著でない。 5) 品種による再出卵及胚子發育程度の多少は, 日7, 日112に多く支4, 支108は少く一般に支那種は日本種より硬い傾向を示したが, 晩秋蠶期採種の日112, 支108の比較では日112の方が硬かつた。 6) 硬性卵は軟性卵に比して再出卵少く胚子發育の程度も少い。 7) 散種製造に當り洗落の操作は其時期如何を問はず休眠胚子を活性化して發育を促す故に, その方法, 時期, 特に製造後の保護取扱には充分なる注意が必要である。 |
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ISSN: | 0037-2455 1884-796X |
DOI: | 10.11416/kontyushigen1930.19.136 |