海外だより スタンフォードでの研究と生活

アメリカで働いているポスドクとして, ごく個人的な体験について書きたいと思う. 「私の研究」私の研究の中心には常に顕微鏡がある. 博士課程では多細胞期と単細胞期を行き来する生活環を持つ社会性アメーバのエキゾチックな生態に強烈に惹かれ, 東大総合文化研究科・澤井研究室の門を叩いた. 細胞集団が運動する様子を顕微鏡と微小流体デバイスを使って観察し, 細胞間接着による運動制御機構を明らかにした. 単一細胞の観察を続けていると, 運動様式や分化状態など細胞の持つ多様性に驚かされる. その多様性の根源を, 遺伝子発現のオン/オフがまさに決定される場である細胞核とクロマチンの状態を可視化することでどの程度...

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Published in生物物理 Vol. 63; no. 2; pp. 126 - 127
Main Author 藤森, 大平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2023
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.63.126

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Summary:アメリカで働いているポスドクとして, ごく個人的な体験について書きたいと思う. 「私の研究」私の研究の中心には常に顕微鏡がある. 博士課程では多細胞期と単細胞期を行き来する生活環を持つ社会性アメーバのエキゾチックな生態に強烈に惹かれ, 東大総合文化研究科・澤井研究室の門を叩いた. 細胞集団が運動する様子を顕微鏡と微小流体デバイスを使って観察し, 細胞間接着による運動制御機構を明らかにした. 単一細胞の観察を続けていると, 運動様式や分化状態など細胞の持つ多様性に驚かされる. その多様性の根源を, 遺伝子発現のオン/オフがまさに決定される場である細胞核とクロマチンの状態を可視化することでどの程度理解できるのかに興味を持つに至った. 研究をするなら最も進んでいるであろうアメリカへ, というのと同じくらい素朴な動機である.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.63.126