根管治療痕を考慮したパノラマX線画像における歯牙自動認識法

近年歯科口腔外科において利用されるパノラマX線画像は比較的低被ばく量で撮影でき,患者の口腔内の歯牙の状態を記録できる.一方,歯科診療ではこれらの画像を読影し患者の診療録を作成しなければならないが,手間であり誤記載のおそれもある.また,大規模災害時における遺体の迅速な身元確認にも,データベース化された歯牙情報による照合は有効である.そこで,パノラマX線画像から自動で歯牙や治療痕といった情報を認識する手法が開発されている.これらの手法では未治療歯が主に認識の対象となっており,補綴物や根管治療痕を対象にしたものは少ない.本研究では,既存の歯牙自動認識の枠組みの上に,根管治療痕に着目した方法を追加する...

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Published in知能と情報 Vol. 36; no. 2; pp. 610 - 615
Main Authors 藤田, 大輔, 足立, 勇輝, 小橋, 昌司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本知能情報ファジィ学会 15.05.2024
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Summary:近年歯科口腔外科において利用されるパノラマX線画像は比較的低被ばく量で撮影でき,患者の口腔内の歯牙の状態を記録できる.一方,歯科診療ではこれらの画像を読影し患者の診療録を作成しなければならないが,手間であり誤記載のおそれもある.また,大規模災害時における遺体の迅速な身元確認にも,データベース化された歯牙情報による照合は有効である.そこで,パノラマX線画像から自動で歯牙や治療痕といった情報を認識する手法が開発されている.これらの手法では未治療歯が主に認識の対象となっており,補綴物や根管治療痕を対象にしたものは少ない.本研究では,既存の歯牙自動認識の枠組みの上に,根管治療痕に着目した方法を追加することで,認識精度向上,より詳細な歯式の作成が目指された.2582症例のパノラマX線画像,1740本の根管治療痕を含むデータセットから,交差検証により歯牙認識として93.6%の正確度,根管治療痕単体では適合率94.6%が得られ,自動歯牙認識において根管治療痕検出による精度向上を確認した.
ISSN:1347-7986
1881-7203
DOI:10.3156/jsoft.36.2_610