ヒト歯肉由来線維芽細胞による弾性系線維形成の微細構造学的研究

培養ヒト歯肉線維芽細胞を用いて, 弾性系線維 (オキシタラン線維, エラウニン線維と弾性線維) 形成過程とアスコルビン酸の線維形成への影響を微細構造学的に検討した. 6週間の培養期間中に, 線維芽細胞は多量のコラーゲン細線維および弾性系線維を形成した. アスコルビン酸 (50μg/ml) を含むα-MEM培地では, コラーゲン産生は促進され, 微細線維形成は影響されず, エラスチン産生は完全に抑制された. しかし, DM-170培地 (1μg/mlアスコルビン酸含有) では, コラーゲン合成は抑制されたが, 微細線維とエラスチン産生は影響を受けなかった. 弾性系線維形成は2段階に進行した. す...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 3; pp. 235 - 244
Main Authors 國本, 隆明, 藤井, 茂仁, 入江, 一元, 坂倉, 康則, 矢嶋, 俊彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 20.06.1999
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Summary:培養ヒト歯肉線維芽細胞を用いて, 弾性系線維 (オキシタラン線維, エラウニン線維と弾性線維) 形成過程とアスコルビン酸の線維形成への影響を微細構造学的に検討した. 6週間の培養期間中に, 線維芽細胞は多量のコラーゲン細線維および弾性系線維を形成した. アスコルビン酸 (50μg/ml) を含むα-MEM培地では, コラーゲン産生は促進され, 微細線維形成は影響されず, エラスチン産生は完全に抑制された. しかし, DM-170培地 (1μg/mlアスコルビン酸含有) では, コラーゲン合成は抑制されたが, 微細線維とエラスチン産生は影響を受けなかった. 弾性系線維形成は2段階に進行した. すなわち, 直径10-12nmの微細線維の集合したオキシタラン線維形成と, オキシタラン線維へのエラスチンの沈着によるエラウニン線維形成である. しかし, この培養系では実験期間内に, 成熟弾性線維形成は観察されなかった. 観察結果より, 微細線維はエラスチン沈着の場として働き, アスコルビン酸 (50μg/ml) はエラスチン沈着を抑制することが示唆された.
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.41.235