特異な臨床像を呈したBartter症候群とその父親にみられた低カリウム血症

私共は22才時発熱を伴つて四肢麻痺発作で発症した定型的Bartter症候群を経験した.本症の報告は小児例が多く,食塩渇望,発熱,身体発育障害などが臨床的特徴で,成人例にみられる脱力,四肢麻痺,テタニーは少ないとされている.本症例は22才発症ながら小児例に特徴とされる症状をも有しており,また入院当初の動脈血pHは7.350とアシドーシスであつたが,血清カリウム値の上昇とともに7.484と著明なアルカローシスを呈するようになつた点など従来の報告にみられない特異な臨床像が認められた.一方本症例の父親に持続性低カリウム血症を認めたが,いわゆるBartter症候群の定義には合致しなかつた.子供に定型的B...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 67; no. 8; pp. 860 - 867
Main Authors 佐久, 昭, 木下, 真男, 里吉, 営二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 01.08.1978
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Summary:私共は22才時発熱を伴つて四肢麻痺発作で発症した定型的Bartter症候群を経験した.本症の報告は小児例が多く,食塩渇望,発熱,身体発育障害などが臨床的特徴で,成人例にみられる脱力,四肢麻痺,テタニーは少ないとされている.本症例は22才発症ながら小児例に特徴とされる症状をも有しており,また入院当初の動脈血pHは7.350とアシドーシスであつたが,血清カリウム値の上昇とともに7.484と著明なアルカローシスを呈するようになつた点など従来の報告にみられない特異な臨床像が認められた.一方本症例の父親に持続性低カリウム血症を認めたが,いわゆるBartter症候群の定義には合致しなかつた.子供に定型的Bartter症候群が認められた低カリウム血症の父子例について, (1)低カリウム血症を呈する二つの異なつた疾患がたまたま親子に認められた. (2)低カリウム血症を来たす同一疾患が親子に存在し,その臨床像として子の方にはBartter症候群が出現した. (3)親子ともBartter症候群である,などの可能性が考えられた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.67.860