国鉄中高年齢者におけるHBs抗原,抗体の疫学的観察

国鉄職員における肝疾患死亡は1964年以来10年間に互り全職員の死因中第5位を保持し続けており,肝がんを除いても1973年には全死亡の7.6%を占めて,保健管理上も無視できない疾患である.慢性肝疾患の発生にも重要な因子として関係するとみられているHBs抗原の頻度ならびに一般肝機能検査との関連性などについて調査し,次の結果を得た.(1) 1973年東京および周辺地域職員2,985名(40~50歳)を検べ,HBs抗原陽性率1.9%,抗体陽性率16.8%の成績を得た.(2) これら被検者では,HBs抗原陽性者でも日常の一般肝機能検査法で異常値を示す頻度はかなり低率で,かつ抗体陽性者,抗原抗体陰性者と...

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Published in肝臓 Vol. 17; no. 5; pp. 361 - 365
Main Authors 佐久間, 光史, 木内, 達弥, 前田, 裕, 大武, 八郎, 眞弓, 忠, 奥田, 邦雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.1976
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.17.361

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Summary:国鉄職員における肝疾患死亡は1964年以来10年間に互り全職員の死因中第5位を保持し続けており,肝がんを除いても1973年には全死亡の7.6%を占めて,保健管理上も無視できない疾患である.慢性肝疾患の発生にも重要な因子として関係するとみられているHBs抗原の頻度ならびに一般肝機能検査との関連性などについて調査し,次の結果を得た.(1) 1973年東京および周辺地域職員2,985名(40~50歳)を検べ,HBs抗原陽性率1.9%,抗体陽性率16.8%の成績を得た.(2) これら被検者では,HBs抗原陽性者でも日常の一般肝機能検査法で異常値を示す頻度はかなり低率で,かつ抗体陽性者,抗原抗体陰性者との間で比較してみても,一般肝機能検査異常頻度に明かな差異が認められなかった。HBs抗原陽性者と肝疾患との関連については,同一対象について長期継続観察がさらに必要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.17.361