水銀およびふっ素によって汚染された地盤の原位置不溶化処理に伴う長期安定性に関する評価

原位置不溶化処理を行った水銀およびふっ素で汚染された地盤を対象として長期安定性を評価した。そこで,(1)汚染物質の溶出抑制効果の定量評価,(2)再溶出した汚染物質の挙動把握が必要と考えた。ここでは,前者について実際に原位置不溶化処理した地盤で採取した土を用い,室内試験により不溶化処理土の再溶出の可能性を確認した。後者は数値解析に基づき再溶出した物質の地盤内の挙動を検討した。その結果,水銀は130年経過した場合に基準不適合となり,ふっ素は1,800年以上基準適合となることから不溶化処理によって長期的に安定することが推察された。再溶出した汚染物質は,不溶化処理に伴う化学形態の変化と地盤の透水性低下...

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Published in地盤工学ジャーナル Vol. 15; no. 3; pp. 563 - 571
Main Authors 日野, 良太, 三浦, 俊彦, 福武, 健一, 西田, 憲司, 森下, 智貴, 日笠山, 徹巳, 江種, 伸之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 30.09.2020
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Summary:原位置不溶化処理を行った水銀およびふっ素で汚染された地盤を対象として長期安定性を評価した。そこで,(1)汚染物質の溶出抑制効果の定量評価,(2)再溶出した汚染物質の挙動把握が必要と考えた。ここでは,前者について実際に原位置不溶化処理した地盤で採取した土を用い,室内試験により不溶化処理土の再溶出の可能性を確認した。後者は数値解析に基づき再溶出した物質の地盤内の挙動を検討した。その結果,水銀は130年経過した場合に基準不適合となり,ふっ素は1,800年以上基準適合となることから不溶化処理によって長期的に安定することが推察された。再溶出した汚染物質は,不溶化処理に伴う化学形態の変化と地盤の透水性低下に伴い,水銀の場合に100年経過しても0.02m程度の移動となった。以上のことより,原位置不溶化処理による長期的な拡大防止効果に関して定量的な評価が可能になった。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.15.563