北京市における大気環境の経済価値調査

発展途上国には,急速な経済発展に伴い深刻な大気汚染が発生している都市があり,適切な政策,国際協力のために大気環境の価値の評価が望まれている。本報では,大気汚染による影響で最も重要であると考えられる人間の健康被害の経済価値換算について考察する。このために北京市において,健康被害の経済価値を分析するための社会調査を実施,分析した。調査では700 人の回答者を,北京市の6つの区から抽出した。調査票は,仮想評価法により大気汚染による健康被害を回避するための支払意志額を,吸入器の購入意志により質問する部分を中心に構成した。また,利便性,環境,経済性のトレードオフについてコンジョイント法に基づく質問も行っ...

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Published in日本エネルギー学会誌 Vol. 94; no. 4; pp. 335 - 345
Main Authors 野村, 昇, 玄地, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本エネルギー学会 2015
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Summary:発展途上国には,急速な経済発展に伴い深刻な大気汚染が発生している都市があり,適切な政策,国際協力のために大気環境の価値の評価が望まれている。本報では,大気汚染による影響で最も重要であると考えられる人間の健康被害の経済価値換算について考察する。このために北京市において,健康被害の経済価値を分析するための社会調査を実施,分析した。調査では700 人の回答者を,北京市の6つの区から抽出した。調査票は,仮想評価法により大気汚染による健康被害を回避するための支払意志額を,吸入器の購入意志により質問する部分を中心に構成した。また,利便性,環境,経済性のトレードオフについてコンジョイント法に基づく質問も行った。得られたデータに対して,統計的分析を行い,回答に影響を及ぼしている要因を分析した。世帯年収は最も重要な要因であったが,他の要因の影響も検出された。
ISSN:0916-8753
1882-6121
DOI:10.3775/jie.94.335