資源有効利用を考慮したバイオマスエネルギーシステムの定量評価

本研究は,マテリアルフロー及びエネルギーフローに基づいて,資源の有効利用を考慮したバイオマスエネルギーシステムの評価指標を構築することを目的とする。システムの構成要素は,資源の栽培・収集,前処理(バイオ燃料製造),エネルギー変換,廃棄物処理の4つとして,資源及び燃料はバイオマス資源,バイオ燃料,化石燃料を対象とする。従来の評価指標であるエネルギー収支比(EROI) は,単位量あたりの化石燃料を消費して得られるバイオ燃料のエネルギー量で定義され,バイオ燃料を製造するために消費したバイオマス資源の量を考慮していない。本研究ではマテリアルフローを考慮して,バイオマス資源のエネルギー量を基準として,バ...

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Published in日本エネルギー学会誌 Vol. 95; no. 1; pp. 111 - 122
Main Authors 古林, 敬顕, 中田, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本エネルギー学会 2016
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ISSN0916-8753
1882-6121
DOI10.3775/jie.95.111

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Summary:本研究は,マテリアルフロー及びエネルギーフローに基づいて,資源の有効利用を考慮したバイオマスエネルギーシステムの評価指標を構築することを目的とする。システムの構成要素は,資源の栽培・収集,前処理(バイオ燃料製造),エネルギー変換,廃棄物処理の4つとして,資源及び燃料はバイオマス資源,バイオ燃料,化石燃料を対象とする。従来の評価指標であるエネルギー収支比(EROI) は,単位量あたりの化石燃料を消費して得られるバイオ燃料のエネルギー量で定義され,バイオ燃料を製造するために消費したバイオマス資源の量を考慮していない。本研究ではマテリアルフローを考慮して,バイオマス資源のエネルギー量を基準として,バイオマス資源を加工して得られるバイオ燃料のエネルギー量と,バイオマス利用の過程で消費される化石燃料のエネルギー量の差を,資源有効利用率と定義する。また,エネルギー変換の影響を考慮して,バイオマス資源をエネルギー利用することに伴い代替される化石燃料の量を,化石燃料代替係数と定義する。木質バイオマスを対象としたケーススタディを行い,マテリアルフローに基づいて評価,比較した結果,EROIと,資源有効利用率及び化石燃料の削減量は,傾向が異なる場合があることを明らかにした。
ISSN:0916-8753
1882-6121
DOI:10.3775/jie.95.111