梗塞壊死をきたした乳腺充実腺管癌の1例

症例は83歳,女性.乳癌検診で腫瘤を指摘され当科を受診.左乳房EB領域に3cm大で弾性硬の腫瘤を触知した.MMGでは左ML領域に円形で境界不明瞭な高濃度腫瘤影を認めた.乳腺USでは同部位に径35×28mmの低エコー像を認めた.針生検組織では浸潤性乳管癌と診断し,左乳房切除術および腋窩郭清を施行した.病理結果は,腫瘍の中心部は広範な凝固壊死に陥っており,辺縁にわずかに異型細胞が観察されるのみであった.生検標本を併せた評価にて,腋窩リンパ節に微小転移を伴う充実腺管癌と診断した.核グレードは2,ER・PgRは共に陽性,HER2は陰性であった.術後は,患者希望により無治療にて経過観察としたが,1年9カ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 7; pp. 1396 - 1402
Main Authors 平野, 聡, 岩井, 和浩, 鯉沼, 潤吉, 細井, 勇人, 渡邉, 幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.1396

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Summary:症例は83歳,女性.乳癌検診で腫瘤を指摘され当科を受診.左乳房EB領域に3cm大で弾性硬の腫瘤を触知した.MMGでは左ML領域に円形で境界不明瞭な高濃度腫瘤影を認めた.乳腺USでは同部位に径35×28mmの低エコー像を認めた.針生検組織では浸潤性乳管癌と診断し,左乳房切除術および腋窩郭清を施行した.病理結果は,腫瘍の中心部は広範な凝固壊死に陥っており,辺縁にわずかに異型細胞が観察されるのみであった.生検標本を併せた評価にて,腋窩リンパ節に微小転移を伴う充実腺管癌と診断した.核グレードは2,ER・PgRは共に陽性,HER2は陰性であった.術後は,患者希望により無治療にて経過観察としたが,1年9カ月目に多発肺転移を認めたため,内分泌療法を開始しすると画像上,完全消退を得た.術後5年を経過した時点で再発の所見はなく,同治療を継続中である. 今回,広範な梗塞壊死を起こした乳癌を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.1396