幼児がオノマトペから想起するイメージと動き:イメージと動きの関係と〈自分〉概念に着目して

幼児の身体表現活動における保育者のオノマトペは,幼児一人一人のイメージを広げ,多様な動きに導くことを目指している。それゆえ,保育者の用いるオノマトペから幼児が想起するイメージと動きの関係は詳細に検討されなければならない。そこで,本研究は,幼児の身体表現活動において,幼児一人一人がオノマトペから想起するイメージとあらわれる動きについて,イメージと動きの関係の3つのタイプ(村瀬・寺山,2020)と〈自分〉概念に着目して検討することを目的とした。本研究は,幼児に対する実験と観察によって明らかにされた。対象となった幼児は5歳児16名(男子5名,女子11名)であった。実験は6つのオノマトペに対して行われ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本女子体育連盟学術研究 Vol. 37; pp. 1 - 16
Main Authors 寺山, 由美, 村瀬, 瑠美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本女子体育連盟 2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1882-0980
2185-3401
DOI10.11206/japew.37.1

Cover

More Information
Summary:幼児の身体表現活動における保育者のオノマトペは,幼児一人一人のイメージを広げ,多様な動きに導くことを目指している。それゆえ,保育者の用いるオノマトペから幼児が想起するイメージと動きの関係は詳細に検討されなければならない。そこで,本研究は,幼児の身体表現活動において,幼児一人一人がオノマトペから想起するイメージとあらわれる動きについて,イメージと動きの関係の3つのタイプ(村瀬・寺山,2020)と〈自分〉概念に着目して検討することを目的とした。本研究は,幼児に対する実験と観察によって明らかにされた。対象となった幼児は5歳児16名(男子5名,女子11名)であった。実験は6つのオノマトペに対して行われ,オノマトペに対する対象者の反応が記録された。観察は5つの場面に対して行われた。本研究で明らかになったことは以下の2点である。まず,3つのタイプと〈自分〉概念には関係が見られた。次に,幼児の身体表現活動において,オノマトペによって幼児のイメージを広げ,動きを導く際には,〈自分〉ではないもののイメージから,〈自分〉ではないものになる動きを導くことが,多様な動きにつながる可能性があった。さらに,イメージを動きにあらわすことができるかどうかについて,想起したイメージが〈自分〉に近いものか,遠いものかという距離と,〈自分〉を他者から区別できていく発達過程という2つの観点で考えることができることが示唆された。
ISSN:1882-0980
2185-3401
DOI:10.11206/japew.37.1