マイクロ波加熱を利用した化学的還元法による貴金属ナノ粒子の調製と常温常圧におけるニトリルの水素化反応活性

マイクロ波加熱を利用した化学的還元法により,ポリビニルピロリドンで保護された貴金属ナノ粒子を簡便に調製した。通常,エタノールは沸点が低すぎるため,還元剤として適さないが,本研究では密閉調製容器を用いることでエタノールを還元剤として使用することを試みた。その結果,エタノールの優れた還元力により,3 nm前後の粒径を有するRu,Rh,Pd,Ir,Ptナノ粒子が形成することが分かった。PdとPtナノ粒子については,それらの結晶子径が還元剤であるエタノールの濃度に依存していた。さらに,調製した各金属ナノ粒子のニトリル水素化活性を評価したところ,Rhのみが優れたニトリルの転化率と目的生成物(第二級イミン...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 62; no. 5; pp. 220 - 227
Main Authors 西田, 吉秀, 和田, 雄一郎, 佐藤, 勝俊, 永岡, 勝俊
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 01.09.2019
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Summary:マイクロ波加熱を利用した化学的還元法により,ポリビニルピロリドンで保護された貴金属ナノ粒子を簡便に調製した。通常,エタノールは沸点が低すぎるため,還元剤として適さないが,本研究では密閉調製容器を用いることでエタノールを還元剤として使用することを試みた。その結果,エタノールの優れた還元力により,3 nm前後の粒径を有するRu,Rh,Pd,Ir,Ptナノ粒子が形成することが分かった。PdとPtナノ粒子については,それらの結晶子径が還元剤であるエタノールの濃度に依存していた。さらに,調製した各金属ナノ粒子のニトリル水素化活性を評価したところ,Rhのみが優れたニトリルの転化率と目的生成物(第二級イミン)の収率を示すことが分かった。Rhの触媒活性は,その粒径によって大きく変化し,平均粒径3.3 nmのRhナノ粒子が最も優れた触媒重量あたりの活性を示した。このような粒径の最適化により,我々は世界で初めてニトリルを常温常圧で第二級イミンへと変換することに成功した。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.62.220