Palliative Rastelli 術後に縦隔洞炎・人工血管感染を合併し,術後4カ月目に右室-肺動脈導管吻合部仮性瘤を生じた1例

症例は1歳3カ月,7.9 kg,女児,肺動脈閉鎖-心室中隔欠損(PA-VSD)に対して,25生日にcentral shuntを施行した.肺動脈発育不良であることから11カ月時にpalliative Rastelli operationであるRV-PA conduit(10 mm ePTFE valved conduit)吻合のみを施行した.術後の呼吸・循環動態は安定していたが,術後8日目に正中創から排膿があり緑膿菌を検出した.造影CTでは縦隔および導管周囲にlow density areaが存在しており,術後縦隔洞炎と判断し術後10日目にデブリードメント・局所陰圧療法を開始した.局所陰圧療法開...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 363 - 367
Main Authors 緒方, 裕樹, 山下, 雄史, 重久, 喜哉, 樋渡, 啓生, 井本, 浩, 松葉, 智之, 安村, 拓人, 豊川, 建二, 曽我, 欣治, 四元, 剛一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2021
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.50.363

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Summary:症例は1歳3カ月,7.9 kg,女児,肺動脈閉鎖-心室中隔欠損(PA-VSD)に対して,25生日にcentral shuntを施行した.肺動脈発育不良であることから11カ月時にpalliative Rastelli operationであるRV-PA conduit(10 mm ePTFE valved conduit)吻合のみを施行した.術後の呼吸・循環動態は安定していたが,術後8日目に正中創から排膿があり緑膿菌を検出した.造影CTでは縦隔および導管周囲にlow density areaが存在しており,術後縦隔洞炎と判断し術後10日目にデブリードメント・局所陰圧療法を開始した.局所陰圧療法開始1カ月後,創部培養陰性および炎症反応正常化を確認し胸骨を閉鎖した.抗生剤投与終了後,血液培養陰性を確認し自宅退院となったが,10日後に40°Cの発熱のため再入院となった.造影CTでは縦隔洞炎および吻合部破綻の所見はなく,エコー上もconduit内に疣贅等はなかった.抗生剤の投与を継続しながら様子観察したところ,再入院2カ月後のCTでRV-PA conduit中枢側仮性瘤を認め翌日緊急手術となった.手術は右総頸動脈・内頸静脈を用いて人工心肺を確立,電気的誘発心室細動下にRV-PA conduit交換(12 mm ePTFE valved conduit),二期的胸骨閉鎖とした.術中組織培養は陰性であり,6日後に大網充填・胸骨閉鎖を施行した.抗生剤投与終了後も発熱・炎症反応再上昇がないことを確認し自宅退院となった.現在大網充填後15カ月経過しているが,感染徴候の再燃なく外来経過観察中である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.50.363