生物学的に許容できる歯根面を得るためのルートプレーニング: 実験的研究

歯周治療におけるルートプレーニングの目的は, 露出歯根面の炎症起因物質を除去することである. しかしながら, 露出歯根面のPAMPsやDAMPsの浸透度はよく分かっていない. また, 歯周再生療法において, 歯根面から歯根膜幹細胞が受ける影響にも不明な点が多い. 本研究では, 細胞為害性物質の浸透度を計測し, また, 歯根膜幹細胞が露出歯根面から受ける影響を検討し, ルートプレーニングの最適深度を確立する. ヒト抜去歯を用い, レーザー顕微鏡にて削合深度を計測した. 削合物中の細菌ゲノム量をリアルタイムPCR法で定量した. THP-1細胞を削合物で刺激し, IL-1βmRNA発現量とタンパク発...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 62; no. 1; pp. 1 - 15
Main Authors 須藤, 毅顕, Thatawee, Khemwong, 小林, 宏明, 和泉, 雄一, 三神, 亮, 野崎, 浩佑, 加納, 千博, 妻沼, 有香
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 31.03.2020
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.62.1

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Summary:歯周治療におけるルートプレーニングの目的は, 露出歯根面の炎症起因物質を除去することである. しかしながら, 露出歯根面のPAMPsやDAMPsの浸透度はよく分かっていない. また, 歯周再生療法において, 歯根面から歯根膜幹細胞が受ける影響にも不明な点が多い. 本研究では, 細胞為害性物質の浸透度を計測し, また, 歯根膜幹細胞が露出歯根面から受ける影響を検討し, ルートプレーニングの最適深度を確立する. ヒト抜去歯を用い, レーザー顕微鏡にて削合深度を計測した. 削合物中の細菌ゲノム量をリアルタイムPCR法で定量した. THP-1細胞を削合物で刺激し, IL-1βmRNA発現量とタンパク発現量を測定した. 阻害剤を用いてIL-1β産生経路を検討した. 露出歯根面上への歯根膜幹細胞の定着増殖実験を行った. レーザー顕微鏡測定から, SRPの3ストロークまでは20-30μmずつ, 4ストローク以降は10μmずつ削れていた. また, 8ストロークまでの削片中で細菌ゲノムが検出され, これらの削片はIL-1βmRNA発現を誘導し, この産生にはPAMPsやDAMPsが関わりNFκB経由であった. 露出歯根面上の歯根膜幹細胞数は3ストローク削合で増加した. 結論として, 炎症起因物質は8ストローク深さまで浸透している. 3ストロークのルートプレーニングで歯根膜幹細胞の定着増殖数が増加することが示唆された.
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.62.1