軟弱地盤上に設置した仮設構造物の地震時安定性評価と転倒防止対策の一検討

比較的簡単に設置・撤去ができる仮設構造物は,設置期間が短いものの,杭の設置や地盤改良など特段の対策が施されないため,施工・設置中に地震が発生した場合,転倒による人身被害等が懸念される。本論文では,2種類の軟弱地盤(砂質地盤および粘性土地盤)上に建設された仮設構造物の地震時安定性を数値解析的に検討した。その結果,仮設構造物転倒の主たる原因は,単に加速度の増幅(最大加速度)ではなく,(1)仮設構造物の固有振動数と地盤の卓越振動数の一致に伴う揺れの増幅と,(2)表層地盤の液状化による支持力低下とそれに伴う構造物の不同沈下にあることがわかった。転倒防止対策としては,仮設構造物の幅と高さを変えることによ...

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Published in地盤工学ジャーナル Vol. 5; no. 3; pp. 499 - 510
Main Authors 中井, 健太郎, 野田, 利弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 2010
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Summary:比較的簡単に設置・撤去ができる仮設構造物は,設置期間が短いものの,杭の設置や地盤改良など特段の対策が施されないため,施工・設置中に地震が発生した場合,転倒による人身被害等が懸念される。本論文では,2種類の軟弱地盤(砂質地盤および粘性土地盤)上に建設された仮設構造物の地震時安定性を数値解析的に検討した。その結果,仮設構造物転倒の主たる原因は,単に加速度の増幅(最大加速度)ではなく,(1)仮設構造物の固有振動数と地盤の卓越振動数の一致に伴う揺れの増幅と,(2)表層地盤の液状化による支持力低下とそれに伴う構造物の不同沈下にあることがわかった。転倒防止対策としては,仮設構造物の幅と高さを変えることによって,構造物の固有振動数と地盤の卓越周波数を一致させないことも重要であるが,仮設構造物直下に敷設板を用いて構造物と地盤との設置面積を大きくすることが,簡単で効果的な対策となることがわかった。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.5.499