下咽頭表在癌術後の頸部後発転移症例の検討

当科では下咽頭癌のうちTis~一部のT3病変に対して経口的内視鏡下咽頭腫瘍切除術(endoscopic laryngopharyngeal surgery:ELPS)を施行しているが,2016年~2021年の間に下咽頭癌に対してELPSを施行した症例は38例であった.5年間再発や転移を認めず治癒した症例は3/38例であった.一方で2/38例で頸部後発転移が見られた.治癒した3例と転移を認めた2例の比較では,術前の内視鏡所見では治癒した3例は0-Ⅰs型で,転移を生じた2例は0-Ⅰs+Ⅱc型であった.病理学的所見では5例ともに腫瘍厚1,000μm以上で,脈管侵襲は認めなかった. 下咽頭表在癌は腫瘍...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 37; no. 1; pp. 30 - 36
Main Authors 野田, 百合, 八木, 正夫, 中村, 尚広, 阪上, 智史, 藤澤, 琢郎, 鈴木, 健介, 岩井, 大, 清水, 皆貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 2024
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology.37-030

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Summary:当科では下咽頭癌のうちTis~一部のT3病変に対して経口的内視鏡下咽頭腫瘍切除術(endoscopic laryngopharyngeal surgery:ELPS)を施行しているが,2016年~2021年の間に下咽頭癌に対してELPSを施行した症例は38例であった.5年間再発や転移を認めず治癒した症例は3/38例であった.一方で2/38例で頸部後発転移が見られた.治癒した3例と転移を認めた2例の比較では,術前の内視鏡所見では治癒した3例は0-Ⅰs型で,転移を生じた2例は0-Ⅰs+Ⅱc型であった.病理学的所見では5例ともに腫瘍厚1,000μm以上で,脈管侵襲は認めなかった. 下咽頭表在癌は腫瘍厚1,000μm以上または,脈管侵襲がリンパ節転移のリスクとされているが,その他の因子として内視鏡所見が関わる可能性が考えられた.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.37-030