青森県における尿路結石とその金属濃度について
青森県住民に発生した950個の尿路結石につき, 成分による分類を行ない血中および尿中の各種成分の測定値との関係を検討した。さらにこのうちの310個の結石についてICP発光分析器を用いて20種類の金属の分析を行ない, 結石中の金属の役割について検討を試みた。 得られた結果は次の如くであった。 1. 青森県の尿路結石の疫学としての傾向は, カルシウム塩結石が全体の83%を占め, 尿酸結石は3.4%と少なかった。またリン酸マグネシウムアンモニウム結石の比率は11.4%と全国平均よりもかなり高かった。 2. 尿酸結石保持者の血清尿酸, 血清クレアチニン値が高く, 尿酸結石と腎機能低下には関係があるよう...
Saved in:
Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 945 - 953 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
01.11.1994
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 青森県住民に発生した950個の尿路結石につき, 成分による分類を行ない血中および尿中の各種成分の測定値との関係を検討した。さらにこのうちの310個の結石についてICP発光分析器を用いて20種類の金属の分析を行ない, 結石中の金属の役割について検討を試みた。 得られた結果は次の如くであった。 1. 青森県の尿路結石の疫学としての傾向は, カルシウム塩結石が全体の83%を占め, 尿酸結石は3.4%と少なかった。またリン酸マグネシウムアンモニウム結石の比率は11.4%と全国平均よりもかなり高かった。 2. 尿酸結石保持者の血清尿酸, 血清クレアチニン値が高く, 尿酸結石と腎機能低下には関係があるように思われた。カルシウム塩結石保持者の尿中CaおよびP値は有意に高値であった。 3. 同じ成分の結石でも金属濃度はかなり広範囲にわたって分布しており, カルシウム塩結石, リン酸マグネシウムアンモニウム結石に比べて尿酸結石, シスチン結石では各種金属含有量が少ない傾向があった。また, リン酸カルシウム結石中の多くの金属濃度はシュウ酸カルシウム結石の1.5倍以上の濃度であった。 4. リン酸マグネシウムアンモニウム結石のCa含有量は数%から30%弱まで広範囲にわたり, X線透過性が異なる原因と考えられた。 5. ほとんどの金属は, 結石中濃度が尿中濃度の数百から数千倍であったがMgは80倍と低くMgの結石形成における重要性が示唆された。 |
---|---|
ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.43.945 |