日本国内における森林認証普及パターンの分析

森林認証は持続可能な森林管理の水準の指標として,また地域林業活性化の手段として見ることができる。森林認証がどのように日本各地に普及しているかを分析することは,日本の森林管理・林業の現状を捉える一つの手段である。そこで,FSC,SGECの両認証の普及パターンについて聞き取り調査および各都道府県の認証面積比率と認証普及に影響を及ぼす可能性のある諸条件との間の相関分析を実施した。その結果,全体として,指導的個人の存在,ネットワークの形成,情報の蓄積などの偶然的要因が大きく働いていることが分かった。また,木材生産,森林整備の水準との間に弱い正の相関があることが見出された。また特にSGEC認証については...

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Published in森林応用研究 Vol. 20; no. 1; pp. 1 - 9
Main Author 高橋, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 応用森林学会 2011
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Summary:森林認証は持続可能な森林管理の水準の指標として,また地域林業活性化の手段として見ることができる。森林認証がどのように日本各地に普及しているかを分析することは,日本の森林管理・林業の現状を捉える一つの手段である。そこで,FSC,SGECの両認証の普及パターンについて聞き取り調査および各都道府県の認証面積比率と認証普及に影響を及ぼす可能性のある諸条件との間の相関分析を実施した。その結果,全体として,指導的個人の存在,ネットワークの形成,情報の蓄積などの偶然的要因が大きく働いていることが分かった。また,木材生産,森林整備の水準との間に弱い正の相関があることが見出された。また特にSGEC認証については,他県への製材品移出との間に弱い正の相関があることが分かった。伝統を有する林業地でかえって認証普及に対する抵抗が存在する可能性も指摘された。普及のための最も重要な課題は需要の喚起であることも判明した。
ISSN:1342-9493
2189-8294
DOI:10.20660/applfor.20.1_1