「絶食-再投与」による小腸粘膜の回復と食事組成との関係
3日間飢餓状態にしたラットに食事を3日間再投与した場合, 食事組成の違いによって小腸粘膜の回復状態がどのように異なるかについて比較検討した. 1) 標準食の再投与 小腸粘膜の重量, DNA量, タンパク質量および消化酵素 (sucrase, alkaline phosphatase) 活性はほぼ正常レベルにまで回復した. 2) 20%脂肪食 (カロリー % : 40) の再投与 標準食の場合と同様に, 小腸粘膜の重量, DNA 量, タンパク質量および消化酵素活性は正常レベルにまで回復したが, しかし, 小腸絨毛の組織像は正常な像にはおよばなかった. 3) 無タンパク食の再投与 小腸粘膜の重量...
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Published in | 日本家政学会誌 Vol. 39; no. 9; pp. 949 - 956 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本家政学会
05.09.1988
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Summary: | 3日間飢餓状態にしたラットに食事を3日間再投与した場合, 食事組成の違いによって小腸粘膜の回復状態がどのように異なるかについて比較検討した. 1) 標準食の再投与 小腸粘膜の重量, DNA量, タンパク質量および消化酵素 (sucrase, alkaline phosphatase) 活性はほぼ正常レベルにまで回復した. 2) 20%脂肪食 (カロリー % : 40) の再投与 標準食の場合と同様に, 小腸粘膜の重量, DNA 量, タンパク質量および消化酵素活性は正常レベルにまで回復したが, しかし, 小腸絨毛の組織像は正常な像にはおよばなかった. 3) 無タンパク食の再投与 小腸粘膜の重量も成分も, 消化酵素活性すべてが3日間飢餓時とほとんど変わらず, 回復はまったくみられなかった.とくに, 小腸絨毛の組織像は異常であった. 4) 高果糖食の再投与 他の群にくらべて体重増加はよくないにもかかわらず, 小腸粘膜のDNA量, タンパク質量および消化酵素活性は最も著しい上昇を示した。また, 小腸絨毛にも異常な変化が認められた. 以上の結果から, 飢餓ラットに無タンパク食を再投与しても, 小腸管腔へ失われる小腸絨毛の細胞を補充することができないために小腸粘膜はまったく回復しないが, 標準食, 20%脂肪食および高果糖食を再投与した場合には, 小腸絨毛の細胞は増殖して小腸粘膜は回復する. |
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ISSN: | 0913-5227 1882-0352 |
DOI: | 10.11428/jhej1987.39.949 |