免疫便潜血検査による大腸癌検診の評価

1987年4月から行なってきた免疫便潜血検査 (OCヘモディア) による大腸癌検診の評価を行なうとともに, 今後の課題と対策について検討した。 1993年3月までの6年間の延べ受診者数は172,474名, 要精検者数6,952例 (4.0%), 精検受診者数4,706例 (受診率67.7%) で, 大腸癌144例 (発見率0.08%, 153病変) が発見され, 93例 (64.6%) が早期癌であった。153病変のうち早期癌は101例 (66.0%) で, 71例 (70.3%) がポリペクトミーにて治癒していた。 大腸癌発見率は女性より男性で高率であった。特に50歳以上の男性の発見率は極め...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 597 - 602
Main Authors 三原, 修一, 河津, 佐和子, 佐渡, 美智代, 浜田, 幸生, 山部, 弘恵, 西, 宏子, 隈部, 裕美, 本藤, 和子, 森元, 栄子, 吉岡, 律子, 黒田, 圭一郎, 小山, 和作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 30.11.1995
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Summary:1987年4月から行なってきた免疫便潜血検査 (OCヘモディア) による大腸癌検診の評価を行なうとともに, 今後の課題と対策について検討した。 1993年3月までの6年間の延べ受診者数は172,474名, 要精検者数6,952例 (4.0%), 精検受診者数4,706例 (受診率67.7%) で, 大腸癌144例 (発見率0.08%, 153病変) が発見され, 93例 (64.6%) が早期癌であった。153病変のうち早期癌は101例 (66.0%) で, 71例 (70.3%) がポリペクトミーにて治癒していた。 大腸癌発見率は女性より男性で高率であった。特に50歳以上の男性の発見率は極めて高く, この年齢層に対する検診受診勧奨が重要と思われた。さらに, 効果的な大腸癌検診を行なっていくためには, 精検未受診者に対する徹底した精検受診勧奨を行ない, 精検受診率を高めていく努力が必要である。 精検方法および検診受診歴の分析からは, 必ずしも十分な精査が行なわれていないことが伺えた。便潜血検査のみで再検を行なう医療機関も存在し, 大腸癌検診に対する認識を高める必要がある。精検の精度を高めるためには, 十分な精査・治療が可能な医療機関との連携が不可欠と思われた。 1992年度の成績をもとに, 免疫便潜血検査の診断精度を検討した。一日法の感度は70.8%, 特異度97.0%, 陽性反応適中度2.1であったのに対し, 二日法では感度86.7%, 特異度95.3%, 陽性反応適中度2.7と一日法より良好であった。便潜血陰性癌も高頻度に存在することから, 大腸癌検診の評価を高めていくためには, 二日法による徹底した逐年検診が必要と思われた。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.44.597