国産バターの商品価値競争力の評価:グラスフェッド属性を付加した選択実験に基づいて

国産,北海道産,ニュージーランド(以下NZ)産,フランス産の4ブランドのバターについて,消費者を被験者とした選択実験を行い,それぞれの商品価値評価を推定し,比較することで,国産バターの商品価値競争力を評価した.推定結果が現状を再現しているとすれば,国産バターの商品価値評価は高く,73%の消費者に実売価格(約400円/200 gを想定)と同程度かそれ以上に評価されている.一方で,輸入品に対する抵抗感は強く,52%の消費者に国産バターよりも100円/200 g以上低く評価されている.ただし,24%の消費者が輸入品に抵抗感を持ちながらも,50円/200 g以上安ければ輸入品を選択する.こうした消費者...

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Published in農業情報研究 Vol. 30; no. 2; pp. 45 - 72
Main Authors 光成, 有香, 吉野, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 農業情報学会 01.07.2021
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Summary:国産,北海道産,ニュージーランド(以下NZ)産,フランス産の4ブランドのバターについて,消費者を被験者とした選択実験を行い,それぞれの商品価値評価を推定し,比較することで,国産バターの商品価値競争力を評価した.推定結果が現状を再現しているとすれば,国産バターの商品価値評価は高く,73%の消費者に実売価格(約400円/200 gを想定)と同程度かそれ以上に評価されている.一方で,輸入品に対する抵抗感は強く,52%の消費者に国産バターよりも100円/200 g以上低く評価されている.ただし,24%の消費者が輸入品に抵抗感を持ちながらも,50円/200 g以上安ければ輸入品を選択する.こうした消費者には,食費月額が少ない人,50歳未満の若い女性が比較的多い.さらに5%の消費者は,輸入品に抵抗感がなく,その半数がすでに輸入バターの購入を経験している.NZ産の大半がグラスフェッド・バターであることが消費者に認知されれば,94%の消費者でNZ産バターの評価が高まる.とりわけ,価格差には厳しいが好ましいものには高い評価額を示す食への関心が高い消費者と先述の輸入品に抵抗のない消費者(合計で9%の消費者)は,国産より100円/200 g以上高く評価する.
ISSN:0916-9482
1881-5219
DOI:10.3173/air.30.45