気候変動が児島湖の水質と水質保全対策に与える影響
気候変動が湖沼水質に及ぼす影響を把握することを目的に, 児島湖を対象として将来水質予測シミュレーションを行った。将来気象データには気候変動の程度が小さなSSP1-2.6と, 程度が大きなSSP5-8.5の2つのシナリオのデータを用いた。2050年までの将来30年間についてシミュレーション実施した結果, SSP1-2.6では現状に比べ顕著な水質変化はないものの, SSP5-8.5ではCOD濃度が有意に増加する期間が存在し, その濃度変化の大きさは現況期間平均の5%に相当した。この大きさは, 湖沼水質保全計画での改善目標と同程度であり, 行政による水質保全施策による効果を相殺すると考えられた。また...
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Published in | 水環境学会誌 Vol. 47; no. 2; pp. 55 - 62 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本水環境学会
2024
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Summary: | 気候変動が湖沼水質に及ぼす影響を把握することを目的に, 児島湖を対象として将来水質予測シミュレーションを行った。将来気象データには気候変動の程度が小さなSSP1-2.6と, 程度が大きなSSP5-8.5の2つのシナリオのデータを用いた。2050年までの将来30年間についてシミュレーション実施した結果, SSP1-2.6では現状に比べ顕著な水質変化はないものの, SSP5-8.5ではCOD濃度が有意に増加する期間が存在し, その濃度変化の大きさは現況期間平均の5%に相当した。この大きさは, 湖沼水質保全計画での改善目標と同程度であり, 行政による水質保全施策による効果を相殺すると考えられた。また, 植物プランクトン量を表すChl.a濃度が70 μg L–1を超える日数が増加すると予測された。湖沼の水質保全を計画する際には, 気候変動の影響を考慮すること, またそれに対する施策を検討することが必須と考えられた。 |
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ISSN: | 0916-8958 1881-3690 |
DOI: | 10.2965/jswe.47.55 |