液体クロマトグラフィータンデム質量分析による水道水中の141農薬の一斉分析法の開発

水道水中の農薬は, 検査対象項目数が多く検査方法が多岐にわたっており, 検査の労力が非常に大きいことから, 水道水をLC/MS/MSに直接注入して一斉分析する方法を検討し, 141農薬の一斉分析条件を確立できた。さらに, 一斉分析条件が確立できた農薬について水道水への添加回収試験を行い, その分析精度について評価を行った。その結果, アスコルビン酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムのどちらの脱塩素処理剤を用いて残留塩素を除去した場合も, 目標値の1/100の添加濃度において126農薬が定量可能であり, そのうち120農薬について良好な検査精度が得られたことから, 本分析法はこれらの農薬の水道水...

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Published in水環境学会誌 Vol. 42; no. 1; pp. 13 - 25
Main Authors 五十嵐, 良明, 増田, 潤一, 小林, 憲弘, 土屋, 裕子, 堀池, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本水環境学会 2019
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Summary:水道水中の農薬は, 検査対象項目数が多く検査方法が多岐にわたっており, 検査の労力が非常に大きいことから, 水道水をLC/MS/MSに直接注入して一斉分析する方法を検討し, 141農薬の一斉分析条件を確立できた。さらに, 一斉分析条件が確立できた農薬について水道水への添加回収試験を行い, その分析精度について評価を行った。その結果, アスコルビン酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムのどちらの脱塩素処理剤を用いて残留塩素を除去した場合も, 目標値の1/100の添加濃度において126農薬が定量可能であり, そのうち120農薬について良好な検査精度が得られたことから, 本分析法はこれらの農薬の水道水質検査に適用可能と考えられる。ただし, 一部の農薬については, 添加した脱塩素処理剤により試験結果に違いが見られため, 残留塩素を除去して検査する場合には, 検査対象農薬によって脱塩素処理剤を適切に選択する必要がある。
ISSN:0916-8958
1881-3690
DOI:10.2965/jswe.42.13