グリセロホスホジエステラーゼの分子進化から生理的役割の新たな展開 哺乳動物における新基質の発見

細菌におけるグリセロホスホジエステラーゼは,グリセロリン脂質の二つの脂肪酸が切断された水溶性代謝物であるグリセロホスホジエステルを分解することでグリセロール3-リン酸を獲得し,リンや炭素の栄養源としての利用において重要な役割を担う.一方,酵母,植物,線虫,哺乳動物においてもグリセロホスホジエステラーゼが同定されたが,哺乳動物においてはグリセロホスホジエステル以外の基質も発見され,多彩な生理的役割が明らかにされている.グリセロホスホジエステラーゼの酵素タンパク質としての分子進化上の特徴,さらに哺乳動物における生理機能の新展開について紹介する....

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Published in化学と生物 Vol. 54; no. 6; pp. 387 - 395
Main Authors 中村, 美奈子, 大嶋, 紀安, 矢中, 規之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 20.05.2016
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ISSN0453-073X
1883-6852
DOI10.1271/kagakutoseibutsu.54.387

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Summary:細菌におけるグリセロホスホジエステラーゼは,グリセロリン脂質の二つの脂肪酸が切断された水溶性代謝物であるグリセロホスホジエステルを分解することでグリセロール3-リン酸を獲得し,リンや炭素の栄養源としての利用において重要な役割を担う.一方,酵母,植物,線虫,哺乳動物においてもグリセロホスホジエステラーゼが同定されたが,哺乳動物においてはグリセロホスホジエステル以外の基質も発見され,多彩な生理的役割が明らかにされている.グリセロホスホジエステラーゼの酵素タンパク質としての分子進化上の特徴,さらに哺乳動物における生理機能の新展開について紹介する.
ISSN:0453-073X
1883-6852
DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.54.387