硫酸アルベカシンにおける投与設計に際しての留意点 Sawchuk-Zaske法とBayesian法を用いた場合の比較

はじめに 硫酸アルベカシン(ABK)は, アミノグリコシド系抗生物質に属しメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療薬として広く用いられている1-3). また, その効果と副作用は血清中ABK濃度と深い関連を示すことから, 治療薬物濃度測定(TDM)を実施し, 最高血清中ABK濃度(ピーク値)を7から12μg/mL, 最低血清中ABK濃度(トラフ値)を2μg/mL以下となるように投与設計することが推奨されている4). 現在, 一般にABKの薬物動態の解析には, 1-コンパートメントモデルにあてはめるSawchuk-Zaske法(SZ法)5-7)と2-コンパートメントモデルで求めた母集...

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Published in医療薬学 Vol. 30; no. 12; pp. 777 - 782
Main Authors 西川, 豊, 橋本, 亜衣子, 巽, 久美代, 上田, 睦明, 山本, 育由, 中塚, 英太郎, 梶田, 貴司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.12.2004
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.30.777

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Summary:はじめに 硫酸アルベカシン(ABK)は, アミノグリコシド系抗生物質に属しメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療薬として広く用いられている1-3). また, その効果と副作用は血清中ABK濃度と深い関連を示すことから, 治療薬物濃度測定(TDM)を実施し, 最高血清中ABK濃度(ピーク値)を7から12μg/mL, 最低血清中ABK濃度(トラフ値)を2μg/mL以下となるように投与設計することが推奨されている4). 現在, 一般にABKの薬物動態の解析には, 1-コンパートメントモデルにあてはめるSawchuk-Zaske法(SZ法)5-7)と2-コンパートメントモデルで求めた母集団パラメータを使うBayesian法(BS法)が用いられている8). しかし, この2つの解析方法では, 求まった薬物動態パラメータを用いて推定される血清中ABK濃度に相違を生じることが予想される. そこで, 天理よろづ相談所病院に入院し, ABK投与後TDMを実施したMRSA肺炎患者を対象にそれぞれの解析方法で算出した推定ピーク値, トラフ値について比較を行うとともに, 1点のみの血清中濃度を用いてBS法で算出する推定ピーク値, トラフ値に与える採血時間の影響についても同様に検討した.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.30.777