原油スラッジ削減技術の実証および評価

原油には重質なワックスやアスファルテンが含まれており,これらは最終的にスラッジとして原油タンクの底に蓄積される。そのため,原油タンクの本来の貯蔵能力を回復させる,あるいはタンクの点検やオーバーホールを行うためには,定期的にタンク内のスラッジを除去する必要がある。従来,原油を用いた共油洗浄(COW工法)によって産廃として処理しており,そのために多額のコストがかかっていた。この問題を解決するために,新しい技術であるSludge Volume Reduction(SVR)を開発した。本技術のポイントは,スラッジから遠心分離機で再利用可能な油を回収し,回収した油(以下,回収油)を再スラッジ化することな...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 66; no. 4; pp. 121 - 127
Main Authors 深津, 直矢, 森山, 拓, 岡, 明憲, 藤野, 和仁, 高木, 吉廣, 三浦, 靖智, 太田, 和洋, 池田, 憲治, 木村, 功二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.07.2023
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.66.121

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Summary:原油には重質なワックスやアスファルテンが含まれており,これらは最終的にスラッジとして原油タンクの底に蓄積される。そのため,原油タンクの本来の貯蔵能力を回復させる,あるいはタンクの点検やオーバーホールを行うためには,定期的にタンク内のスラッジを除去する必要がある。従来,原油を用いた共油洗浄(COW工法)によって産廃として処理しており,そのために多額のコストがかかっていた。この問題を解決するために,新しい技術であるSludge Volume Reduction(SVR)を開発した。本技術のポイントは,スラッジから遠心分離機で再利用可能な油を回収し,回収した油(以下,回収油)を再スラッジ化することなく原油と混合することである。回収油の化学組成,特にアスファルテンとワックスを分析した。分析結果に基づき,回収油を原油に混合する際には,回収油を加温しつつ原油と乱流状態で混合することで,再スラッジの発生を抑制できることを見出した。さらに,UAE国内にて本技術の実証試験を行い,原油タンクに堆積したスラッジ約9000 kLから約5200 kLの回収油を得たことで,50 %以上のスラッジ削減効果があったことを確認した。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.66.121