ムーヴメントの学習を伴う段階的なダンス創作学習の実践研究:「ムーヴメント始まりのダンス創作学習」から「なんでも始まりのダンス創作学習」へ

本研究の目的は,2種類のダンス創作学習「ムーヴメント始まりのダンス創作学習」および「なんでも始まりのダンス創作学習」を段階的に行う意義および学習者の学習体験の構造を明らかにすることである。学習者43名への質問紙調査の結果,学習者の体験の基盤として機能した身体/運動感覚的かつ言語的なムーヴメントの知は,段階的なダンス創作学習全体において,動きの着想を得る,ダンスを創る,グループ活動を上手くすすめる,動きの選択肢を拡げる,動きや振付けを俯瞰して作品を洗練させる,自身や他者の動きを観て解釈し考察する,といった様々な場面で活用されたことが明らかになった。特に,学習の愉しさや充実さに影響するグループ活動...

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Published in日本女子体育連盟学術研究 Vol. 38; pp. 1 - 14
Main Author 橋本, 有子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本女子体育連盟 2022
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ISSN1882-0980
2185-3401
DOI10.11206/japew.38.1

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Summary:本研究の目的は,2種類のダンス創作学習「ムーヴメント始まりのダンス創作学習」および「なんでも始まりのダンス創作学習」を段階的に行う意義および学習者の学習体験の構造を明らかにすることである。学習者43名への質問紙調査の結果,学習者の体験の基盤として機能した身体/運動感覚的かつ言語的なムーヴメントの知は,段階的なダンス創作学習全体において,動きの着想を得る,ダンスを創る,グループ活動を上手くすすめる,動きの選択肢を拡げる,動きや振付けを俯瞰して作品を洗練させる,自身や他者の動きを観て解釈し考察する,といった様々な場面で活用されたことが明らかになった。特に,学習の愉しさや充実さに影響するグループ活動のすすめ方は自由度が高まると難易度が上がるため,「なんでも始まりのダンス創作学習」においてムーヴメントの知が助けになったことがわかった。これらムーヴメントの知の活用方法から学習者は,自身の身体や動きを内側から感じつつ,振付した動きや他者の動きを外側からも観るといったように,内側の空間,外側の空間,共有する空間,他者の空間を行き来したことが示唆された。また,このような内と外の関連性の学びを経験できたことは,学習者自身にダンスの表現や創作の奥深さ,豊かさの気づきを促したと考えられる。以上より,本研究で確認されたムーヴメントの知に関連した肯定的な結果は,ダンス創作学習を段階的に行うことの重要性を示したといえる。
ISSN:1882-0980
2185-3401
DOI:10.11206/japew.38.1