床反力計を用いた歩行解析の測定回数について

【はじめに】近年、三次元動作解析や床反力計などを使用し、歩行解析を始めとする動作解析を行う研究は多く見られる。床反力計を使用した場合、歩行速度を一定にするなどの歩行条件を設定して計測を行う。しかし、条件歩行では各被検者の自由歩行とは異なり、得られる結果にも相違が生じるのではないかと考えられる。そこで自由歩行での計測では、計測回数を数回行いその平均値を結果として用いるが、計測回数は検者により異なる。今回は、10回の計測を行い平均する計測回数を9通りに分け、その時の変動係数を用いて検討したので報告する。【対象と方法】対象は健常人6名(男性5名、女性1名、25歳から39歳、平均32歳)。方法は2枚の...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 113
Main Authors 西村, 繁典, 中島, 義博, 梅津, 祐一, 前田, 貴司, 広田, 桂介, 志波, 直人, 田川, 善彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2005
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Summary:【はじめに】近年、三次元動作解析や床反力計などを使用し、歩行解析を始めとする動作解析を行う研究は多く見られる。床反力計を使用した場合、歩行速度を一定にするなどの歩行条件を設定して計測を行う。しかし、条件歩行では各被検者の自由歩行とは異なり、得られる結果にも相違が生じるのではないかと考えられる。そこで自由歩行での計測では、計測回数を数回行いその平均値を結果として用いるが、計測回数は検者により異なる。今回は、10回の計測を行い平均する計測回数を9通りに分け、その時の変動係数を用いて検討したので報告する。【対象と方法】対象は健常人6名(男性5名、女性1名、25歳から39歳、平均32歳)。方法は2枚の床反力計(AMTI社製)上を左右一歩ずつ踏む自由歩行を10回行った。その得られた床反力結果のうち、鉛直分力の3つのピーク値(2つの頂点と1つの谷の値)に対し自由歩行の1回目と2回目、1回目から3回目までのように1回目から10回目までの9つに分けて平均値と標準偏差を求め、この値を用いて変動係数を算出した。変動係数とは標準偏差を平均値で割り100を掛けた値である。この変動係数を9つに分類した回数ごとに比較した。【結果】得られた変動係数の値は、1回目と2回目は3.06、1回目から3回目は3.06、1回目から4回目は3.07、1回目から5回目は3.01、1回目から6回目は3.00、1回目から7回目は2.97、1回目から8回目は3.07、1回目から9回目は3.06、1回目から10回目は3.05であった。以上の結果から、上記9つの変動係数に大きな差は見られなかった。【考察とまとめ】床反力計を用いて歩行解析を行う場合、歩行の再現性や被検者ごとに比較を行うために歩行速度などを一定にして行う。しかし、この場合、被検者が持つ個々の特徴を打ち消すことになるのではないかと考える。そこで、自由歩行での解析を行う時、数回の計測を行いその平均値を結果として用いることがある。この場合、計測回数をどの程度行うのか検者によって違いがある。そこで今回、10回の計測を行い、平均値を求める実施回数を9つに分けて変動係数を用いて検討した結果、それぞれの分け方での変動係数に違いは無かった。このことは、2回以上の計測を行い、その平均値を結果として用いることが出来ると考えられる。しかし、4回以下の計測に比べ5回から7回の計測での変動係数には若干であるが小さくなっていることより、5回程度の計測が妥当な計測回数ではないかと考えられる。今回の結果は健常者でのものであり、患者さんを計測する場合、疲労などを考慮しなければならないと思われるため、この点について更なる検討が必要であると考えられる。
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2005.0.113.0