大腿骨頚部骨折に関する治療成績
【目的】 大腿骨頸部骨折症例に対して当院では3週間プロトコールを採用しているが、治療成績を客観的視点から検討する機会がなく、治療の進め方や教育においてもマニュアルが整備されていないのが現状である。そこで今回、当院の大腿骨頚部骨折における理学療法(以下PTとする)の治療成績を分析することで、現在のPTアプローチの有効性を把握し、今後の治療・教育のあり方を検討する。 【方法】 対象:平成21年1月1日から平成21年12月31日までに入院し、大腿骨頚部骨折を呈し観血的整復固定術を施行された43症例(合併症の精査・治療が必要となった症例、荷重制限がある症例、精神疾患を有している症例を対象より除外した)...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2010; p. 313 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2010
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-2032 2423-8899 |
DOI | 10.11496/kyushuptot.2010.0.313.0 |
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Summary: | 【目的】 大腿骨頸部骨折症例に対して当院では3週間プロトコールを採用しているが、治療成績を客観的視点から検討する機会がなく、治療の進め方や教育においてもマニュアルが整備されていないのが現状である。そこで今回、当院の大腿骨頚部骨折における理学療法(以下PTとする)の治療成績を分析することで、現在のPTアプローチの有効性を把握し、今後の治療・教育のあり方を検討する。 【方法】 対象:平成21年1月1日から平成21年12月31日までに入院し、大腿骨頚部骨折を呈し観血的整復固定術を施行された43症例(合併症の精査・治療が必要となった症例、荷重制限がある症例、精神疾患を有している症例を対象より除外した)。 〈研究内容:カルテより後方視的調査を実施し、年齢・性別・術式・在院日数・リハビリ開始日・リハビリ実施期間・担当PT・各PT経験年数・元のADLレベル・転帰の調査項目をX2検定・ボンフェローニ検定にて統計学的に分析した。 【結果】 担当PT毎で自宅退院率、担当PT毎で歩行獲得成績のいずれにおいても有意差はみられなかった。しかし、術式によるバリアンス発生率に差は無かったものの、入院期間においては差がみられた(CCS術は比較的短く、PFNA術・人工骨頭置換術は長い傾向にあった)。 【考察】 諸研究において骨接合術より人工骨頭置換術では疼痛が少ないなどの条件によって在院日数が短いと報告されているが、今回の調査での在院日数はCCS術が15日、CHS術が21日、PFNA術が32日、人工骨頭置換術が29日と骨接合術であるCCSが最も在院日数が短かった。CCSは侵襲の少ない術式であり手術時間も短いことから、早期離床を促し易く、痛みや筋収縮のコントロールが行い易くなったことで在院日数が短かったと考える。 【まとめ】 対象症例が少数であり、カルテ記載においても客観的評価内容や評価時期が統一されていない事から、統計的信頼性に乏しい。今後は評価内容や評価時期においても統一を図っていき、バリアンス発生の分析や治療成績の分析を進めていく必要があると考える。 |
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Bibliography: | 380 |
ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2010.0.313.0 |