ベキ正規分布に基づくROC曲線の構成

医学分野では,適切に疾病の有無を予測するための臨床検査値の探索が重要な要件の一つである.このとき,有用な統計的方法の一つが受信者動作特性(ROC:Receiver Operating Characteristic)曲線である.そこでは,解釈の簡便さ,あるいはその後の統計的推測の観点から,正規分布に基づくROC曲線が広く用いられている.ただし,このような検査値が正規分布に従う現象は稀である.このとき,検査値の正規性を満たすために,検査値にベキ変換を施し,そのうえで正規分布に基づく方法が適用されている.しかしながら,この変換に基づく方法では,ROC曲線の推定から曲線の解釈までの一貫性を保持できない...

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Published in計算機統計学 Vol. 23; no. 1; pp. 1 - 23
Main Authors 後藤, 昌司, 下川, 敏雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本計算機統計学会 2010
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ISSN0914-8930
2189-9789
DOI10.20551/jscswabun.23.1_1

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Summary:医学分野では,適切に疾病の有無を予測するための臨床検査値の探索が重要な要件の一つである.このとき,有用な統計的方法の一つが受信者動作特性(ROC:Receiver Operating Characteristic)曲線である.そこでは,解釈の簡便さ,あるいはその後の統計的推測の観点から,正規分布に基づくROC曲線が広く用いられている.ただし,このような検査値が正規分布に従う現象は稀である.このとき,検査値の正規性を満たすために,検査値にベキ変換を施し,そのうえで正規分布に基づく方法が適用されている.しかしながら,この変換に基づく方法では,ROC曲線の推定から曲線の解釈までの一貫性を保持できない.本論文では,包括的な接近法として,検査値の潜在基礎分布にベキ正規分布を想定したベキ正規ROC曲線を提案した.そのうえで,疾病の有無を識別する最適カットオフ値を選定した.さらに,ベキ正規ROC曲線の性能を,事例および若干の数値検証により評価した.その結果,ベキ正規ROC曲線は,2群が異なる形状を示す場合にも適合結果が良好であった.
ISSN:0914-8930
2189-9789
DOI:10.20551/jscswabun.23.1_1