酵母に見いだした一酸化窒素(NO)の合成制御機構と生理機能 薬にも毒にもなる一酸化窒素の使い方

一酸化窒素(NO)は拡散性のフリーラジカルであり,生体内において重要なシグナル分子として機能する(1).哺乳類の細胞内でNO合成酵素(NOS)によってアルギニンと酸素から合成されるNOは,主に医学的な観点からその生理機能が盛んに研究されてきた(2).その後,哺乳類以外に植物や細菌など多くの生物種においてNOの生理機能が明らかにされつつあるが,高等生物のモデル生物として,また種々の発酵化学産業において重要な酵母に関しては,ゲノム上に哺乳類型NOSのオルソログ遺伝子が保存されておらず,解析は進んでいなかった.本稿では,酵母に見いだしたNOS様活性とその制御機構,およびNOの生理機能について,筆者ら...

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Published in化学と生物 Vol. 55; no. 9; pp. 617 - 623
Main Authors 高木, 博史, 吉川, 雄樹, 那須野, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 20.08.2017
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ISSN0453-073X
1883-6852
DOI10.1271/kagakutoseibutsu.55.617

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Summary:一酸化窒素(NO)は拡散性のフリーラジカルであり,生体内において重要なシグナル分子として機能する(1).哺乳類の細胞内でNO合成酵素(NOS)によってアルギニンと酸素から合成されるNOは,主に医学的な観点からその生理機能が盛んに研究されてきた(2).その後,哺乳類以外に植物や細菌など多くの生物種においてNOの生理機能が明らかにされつつあるが,高等生物のモデル生物として,また種々の発酵化学産業において重要な酵母に関しては,ゲノム上に哺乳類型NOSのオルソログ遺伝子が保存されておらず,解析は進んでいなかった.本稿では,酵母に見いだしたNOS様活性とその制御機構,およびNOの生理機能について,筆者らの最新の研究成果を交えながら解説する.
ISSN:0453-073X
1883-6852
DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.55.617